「日本製品の存在感が低下している」。いつの頃からか、そんな話が当たり前になってしまった。確かに、かつて日本製の独壇場だったテレビのように、新興勢力に市場の主導権を握られてしまった例はある。
 だが、日本には今も世界の市場で大きなシェアを握り、圧倒的な存在感を示している商品が数多くある。それらの商品には、「高品質の製品を手頃な価格で」というこれまでの「メード・イン・ジャパン」の強みを超越した創意工夫や売り方の秘密がある。「世界一商品」から学べるものは多い。


ホットハンズ、暖宝宝(使い捨てカイロ)
“ニッチメーカー”が王道に挑戦 中国と米国でシェアトップに

 「これは神様がくれた宝物に違いない」。生まれて初めて使い捨てカイロを手にした中国人は、その温かさに驚嘆の声を漏らしたという。

海外進出年:2003年(中国カイロ事業) 価格:1枚1ドル(約78円、米国) 販売国・地域:中国、米国、英国など約20(写真:竹井 俊晴)

 小林製薬がカイロで中国に進出したのは2003年。それまではごく一部が通販で売られていた程度で、大手企業は皆無。カイロ自体を知らない人も多かった。小林製薬は「暖宝宝」というブランド名でテレビCMなども大規模に展開。垂直発進でいきなりトップの座に上り詰めた。

 同社のシェアは3~4割(同社推定)。上海での暖宝宝の認知率は90%に達する。来年9月には第2工場を立ち上げ、低価格の商品で内陸部に攻勢をかける予定だ。

 一方、米国では現地メーカー2社を買収して、シェアトップを獲得。同地ではもともとカイロ市場はあったが、普段使いではなく、キャンプやスポーツ観戦時の防寒用や、治療用など特定のシーンだけで使われるものだった。課題はいかにして「普段使い」に誘導するか。店の奥のキャンプコーナーにひっそりと置かれていたカイロを、「スーパーのレジ前などに売り場を作り、露出を高めている」(執行役員の宮西一仁氏)。一気呵成のマーケティングに頼るのではなく、草の根で普段使いを啓蒙していくという。


クールフィーバー(額用冷却シート)
おでこに貼る新習慣を啓蒙 東南アジアは「冷」で攻める

 常夏の国で、カイロの代わりに何を売るか。東南アジアで小林製薬が仕掛けるのは、こちらも日本発祥の冷却シートだ。

海外進出年:1996年(香港) 価格:15.8 リンギット(約407円、マレーシア、6枚入り) 販売国・地域:タイ、インドネシア、シンガポールなど約10(写真:竹井 俊晴)

 同社は「熱さまシート」をタイ、マレーシア、インドネシアなどで、「KOOL FEVER」ブランドとして展開。ただ東南アジアでは「おでこを冷やす」という文化がほとんどないため、広告展開などで新たな習慣を啓蒙。香港やマレーシアなどではトップシェアを獲得している。中国や米国でも販売し、ブルーオーシャンを突き進んでいる。


タイヤ
ボーイング787に採用 乗用車以外でも強さ

海外進出年:1932年(輸出開始) 価格:数百万円(ダンプ向け超大型タイヤ) 販売国・地域:150以上

 仏ミシュラン、米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーと三つ巴の戦いが続く世界のタイヤ市場で、首位を守っているブリヂストン。ゴムの特性を熟知し、あらゆるタイヤ需要に応える。例えば、「エコタイヤ」では超微細技術によって、回転する際の抵抗を極力落とし、クルマの燃費性能を最大限に引き出す。エコカーの陰の主役とも言える。

 乗用車用以外でも強い。世界中で鉱山開発ラッシュとなり、需要が高まっているダンプトラック用の超大型タイヤは頑丈さが売り。ミシュランとシェアを二分する。強度と軽さが求められる飛行機用でも、最新鋭旅客機「ボーイング787」の車輪用タイヤに採用された。過酷な環境に耐える製品を作ってきた技術力が、主戦場である乗用車用での競争力を支えている側面もある。


高級ヘルメット
「メード・イン・ジャパン」で世界シェアは過半
品質とデザインを両立させ、独走中

海外進出年:1968年(米国販社設立) 価格:4万~9万円(欧州) 販売国・地域:約60(写真:竹井 俊晴)

 海外生産が当たり前になる中、全量が「メード・イン・ジャパン」で、かつ世界シェアの過半を押さえる数少ない消費者向け製品だ。繊維強化プラスチックを材料とする2輪車向け高級ヘルメットは、売り上げの8割が海外だが、国内工場にこだわり、トヨタ生産方式によって生産工程のムダを徹底的に取り除いている。

 一方、年間3000個以上のヘルメットを壊し、安全性能には万全を期す。また、デザイン面でライダーから幅広い支持を得ていることも大きい。独創的なグラフィックデザインを、転写紙を使って職人が一つひとつ仕上げていく。韓国メーカーなども力をつけているが、品質とデザインの両面でトップをひた走る。


ファスナー
「土地っ子になれ」の哲学 世界シェア4割超の原動力

海外進出年:1959年(ニュージーランドに拠点設立) 価格:非公開 販売国・地域:米州、欧州、アジア、オセアニア、アフリカ

 ファスナー世界最大手、YKKは1959年以来、世界各地に生産・販売拠点の設立を進めてきた。現在は日本を含む世界71カ国・地域に拠点を持つ。金額ベースの世界シェアは4割を超えており、特に付加価値の高い製品に強い。

 同社は伝統的に入社間もない若手社員を海外に送り出してきた。「土地っ子になれ」。独創的な経営哲学を残した創業者の故吉田忠雄氏は、海外に飛び立つ社員にこう檄を飛ばしたという。その精神が今も息づいていることが、同社の地位を確固たるものにしている。


バドミントン用品
トッププレーヤーが頼る 草の根の情報収集力

海外進出年:1963年 価格:1780元(約2万2250円、中国、ラケットZ-FORCEの希望小売価格) 販売国・地域:東アジア、東南アジアなど

 今年8月に幕を閉じたロンドン五輪。その種目の1つ、バドミントンの試合で世界各国の選手が愛用していたのがヨネックスの製品だった。選手の使用率を見ると、例えばラケット、シューズでは約60%がヨネックス製だった。

 同社は長年、世界規模の大会から草の根の小さな大会に至るまでバドミントン用品を提供してきた。技術者はそのたびごとに現場に赴き、自社製品の使用感を聞いて回って製品開発に反映していった。こうした地道な取り組みが、製品への信頼につながる。


ピアノ
世界シェアは約3割 中間層の拡大が商機に

海外進出年:1958年(メキシコに販社設立) 価格:2万5000~3万元(約31万2500~37万5000円、中国における売れ筋の価格帯) 販売国・地域:中国など100以上

 世界のピアノ売り上げ(金額ベース)の1位は日本の楽器製造大手のヤマハ。そのシェアは約30%に上るという。同社は世界に先駆けてピアノの量産化、工業化に取り組んだ。「職人の技が求められる部分と工業化できる部分とをうまく融合させている」(ヤマハピアノ事業部)。さらにピアノを一部の限られた層が嗜むものから幅広い人々が楽しむ製品にして市場を拡大させた。今や同社製ピアノの85%以上が海外向け。新興国を中心にピアノを楽しむ中間層が増えており、日本勢にとってはチャンスが続く。


Seki Edge(爪切り)
米アマゾンでトップ 「刃物の関」の切れ味

海外進出年:2006年(米アマゾンで販売開始) 価格:17.49ドル(約1365円、米アマゾンでの販売価格) 販売国・地域:米国、韓国、中国、台湾、タイ、オランダ、シンガポール、英国

 世界最大のネット小売業である米アマゾン・ドット・コム。ある分野で、売上数がトップの日本製品がある。「Seki Edge(セキエッジ)」というブランドで展開される爪切りがそれだ。製造・販売するのは大阪市のグリーンベル。2006年からアマゾンでの販売を始め、切れ味の良さや製品の質の高さが評価され「爪切り、トリマー部門」で売上数トップを誇っている(10月1日現在)。

 アマゾンのカスタマーレビューでは、124件の評価が寄せられ、そのうち96件が最高の5つ星をつけている。

 2011年は国内外合計で1万5000本を出荷。米国のほか韓国、中国、オランダ、英国などで販売している。製造工場は、刃物作りで800年近い歴史を持つ岐阜県関市にある。今でも職人が1本ずつ仕上げており、「受注に生産が追いつかない状態」が続いている。


Ve-upシリーズ(空調)
細かい制御を可能に 先駆者が日本勢を牽引

海外進出年:不明 価格:規模に応じて変わる 販売国・地域:ほぼ全世界

 1982年、「ビル用マルチエアコン(VRF)」は、BtoBの空調市場に革新をもたらした。巨大な室外機で全館を冷やす従来のアプライド方式は大型のホールなどには向くが、省エネの面で難点があった。対するVRFはダクトではなく冷媒管を通じて冷やす方式で、部屋ごとの細かい制御を可能にした。

 三菱電機や東芝など日本勢が強いVRF市場。各国でシェア40~60%と圧倒的な強さを誇るのは、世界初のビル用マルチエアコンを開発したダイキン工業だ。環境への配慮の高まりで、今なおVRFは世界中で成長を続ける。今後も新興国を中心に、ダイキン工業ら日本勢の躍進は続く。


デジタル一眼レフカメラ
「ミラーレス」が攻勢も、レンズで優位性
プロの信頼厚く、揺るがぬ2強の牙城

 勝利の瞬間を逃すまいと、カメラマンが一斉にシャッターを切る。スポーツ大会でおなじみの光景だが、どこへ行ってもカメラとレンズはほとんどがキヤノン、ニコン製だ。

海外進出年:1955年(キヤノン、米ニューヨーク支店開設、フィルム型) 価格:約7万~7万8000円(キヤノン、米国、入門機) 販売国・地域:ほぼ全世界(キヤノン)(写真:AFP=時事)

 高級カメラの代名詞である一眼レフは、精緻な光学とメカの技術が必要で、長く他社の追随を許さなかった。ところが、パナソニックが2008年、反射鏡を取り除いて構造をデジタル化し、小さくした「ミラーレス」カメラを発売。一眼レフのシェアを奪うようになってきた。しかし、カメラの性能を決めるもう1つの要素としてレンズがある。キヤノン、ニコンが特許とノウハウで大きく先行。デジタル化しても、簡単に2強の牙城は揺るがない。


HDR-CX720V(家庭用ビデオカメラ)
強力な手ブレ補正機能 業務用の強さが源流に

海外進出年:1981年(米国などに事業参入) 価格:1499.99ドル(約11万8000円、米国) 販売国・地域:ほぼ全世界(写真左:後藤 究、右:竹井 俊晴)

 上下左右に動かすと、内部のレンズが目玉のようにぐるぐると動く。ソニーの家庭用ビデオカメラ「HDR-CX720V」(右)は強力な手ブレ補正機能を備えた点が評価され、各国でヒット製品となっている。「ハンディカム」のブランドで知られるソニーの家庭用ビデオカメラは、世界シェアで4割を超える。その源流にあるのが、放送局や映画撮影で使う高品質な業務用ビデオカメラだ。報道用カメラは世界市場で6割強のシェアを持つ(上)。4Kと呼ばれる超高画質映像を撮影できる製品もあり、ハリウッドの大作映画にも使われる。


複合機
オフィスの必需品 日本式で世界を制す

海外進出年:1958年(複写機を米国へ輸出) 価格:120万円前後(米国、中速機の本体価格) 販売国・地域:ほぼ全世界(写真:都築 雅人)

 複写機、プリンター、ファクシミリなどの機能を1台に詰め込んだ複合機(A3対応)は、世界中のオフィスの必需品。リコーを筆頭に、キヤノン、富士ゼロックスと日本勢が世界を席巻する。

 複合機の性能を高めるには、給紙構造を見直したり、トナーをより速く紙に定着させたり、短時間で定着に必要な熱を供給したりと、複数の機能をすり合わせることが不可欠。アナログ的な、日本企業が強みを発揮しやすい製品だ。

 もう1つの強みがサービス力。売り切りではなく、顧客のところへ、こまめに訪問点検・修理に出向く日本式の商売が、海外でも大きな武器となっている。

 複合機の故障だけでなく、顧客が抱えるオフィスの悩みを可能な限り解決し、顧客とのパイプをさらに太くする。


油圧ショベル
日本が育てた建機の“王様” 「ハイブリッド」で建設現場もエコ

 建設現場で「掘る」「運ぶ」「吊る」と大活躍する建設機械の王様、油圧ショベル。動力性能の根幹を担うバルブは、様々な技術をすり合わせるノウハウがカギとなる。

海外進出年:1986年(海外生産開始) 価格:約2000万円(欧米、20トン級最新機) 販売国・地域:約150

 コマツは海外売上高比率が8割に達するが、バルブは日本で作って技術やノウハウをブラックボックス化。このバルブが、日本メーカー全体の競争力の源泉となっている。中国・韓国メーカーも、日本から買わざるを得ない。

 コマツは最先端の製品・サービスもいち早く世に出してきた。世界中にある自社製ショベルの稼働状況を把握できるシステム「コムトラックス」のほか、2008年には世界初のハイブリッド油圧ショベルを製品化。地球に優しい建設現場を作り出し、製品のイメージアップにも一役買っている。


工業用ミシン
世界のアパレル支える 縫製のトップブランド

海外進出年:1970年(香港に販社を設立) 価格:3万~1000万円 販売国・地域:約170

 H&Mからアルマーニまで。世界に冠たるファッションブランドを陰で支えるのが、JUKIの工業用ミシンだ。中国やバングラデシュといった世界中の縫製工場に、年間60万台を供給する。世界シェアは約3割でトップ。今なおシェアは着々と上昇している。

 成長の原動力は圧倒的なラインアップだ。革製品などを縫製する高価格ミシンを持ちながら、近年力を入れているのが数万円の超低価格モデル。中国やインド、ブラジルの内需向けブランドを扱う工場用に力を注ぎ、さらなる盤石の地位を目指す。


船外機(船用エンジン)
漁を教えて、エンジンを売った 来年、累計販売1000万台へ

海外進出年:1960年(輸出開始) 価格:10万~300万円(2~350馬力) 販売国・地域:180以上

 アフリカの漁師に“はえ縄漁”を広めたのはヤマハ発動機と言っても過言ではない。現地の漁師船の多くが手漕ぎだった1960年代から、動力船を使った漁法を教えて回り、船外機を売った。「YAMAHA」が船外機を指す言葉となった地域もある。

 発展途上国など向け船外機「エンデューロ」は、過酷な使用に備えてギアの強度を極限まで高め、質の悪いガソリンでも故障しにくい。先進国のレジャー用を含む世界シェアは4割強に達する。来年、累計販売台数が1000万台を突破しそうだ。


マミーポコ
パンツタイプで紙おむつ市場が激変 世界中でP&Gとガチンコ勝負

海外進出年:1984年(台湾) 価格:1500ルピア(約12円、インドネシア、Sサイズ1枚入り) 販売国・地域:約80(写真:竹井 俊晴)

 米国のガリバー、P&Gが席巻していた世界の紙おむつ市場に1992年、激震が走った。それまでテープタイプ一色だったマーケットで、ユニ・チャームがパンツタイプを新開発。勢力図が大きく塗り替わった。

 特に強さを発揮したのが東南アジア。インドネシアでは乳児にいきなり布のパンツをはかせる風習があり、その代替として一気に消費者からの支持を得た。同国でのシェアは58%。タイ(62%)、シンガポール(32%)でもシェアトップだ。今年度中にはエジプトに新工場を設立。南米や南アフリカ共和国への展開も視野に入れる。同社がパンツタイプを出して以降、P&Gや花王も同タイプで追随し、日本での全メーカーのパンツ率は今や8割を超えるという。画期的な新製品1つで、海外の巨大企業とも互角以上に渡り合えることを、同社の成功事例は物語っている。


ポッキー
欧州では「ミカド」でロングセラー
世界で5億個売れるモンスター菓子

 欧州で人気の菓子「MIKADO(ミカド)」。1982年から発売し、30年にわたって売れ続けているロングセラーだが、日本のブランドと知る人は少ない。

海外進出年:1968~69年(香港) 価格:1万5000ドン(約56円、ベトナム) 販売国・地域:約30(写真:竹井 俊晴)

 ミカドは味こそ多少変えているが、基本的に「ポッキー」と同じ。欧州には細い棒を使った「ミカドゲーム」があり、それに似た形状のため、この名称になった。

 江崎グリコは72年にタイ工場を設立。中国やフランスにも現地工場がある。海外での販売数量は年間3億個。既に日本での2億個を上回っている。昨年には各国でバラバラだったレギュラー品のパッケージを、ミカドを除いてすべて赤に統一。グローバルブランドとしてのさらなる地位向上を目論む。


カップヌードル
80カ国以上が愛するパイオニア
最新技術で高付加価値品を提供

海外進出年:1973年(カップヌードル輸出開始) 価格:35セント(約28円、米国、カップヌードル) 販売国・地域:米国、中国、ブラジルなど80以上 (写真:竹井 俊晴)

 世界初の即席麺「チキンラーメン」を開発したパイオニアである日清食品。即席麺は現在、世界で年間1000億食も売れる商品となっている。同社の看板商品と言えば、世界初のカップ麺「カップヌードル」だ。現在、80を超える国と地域で販売されている。特に伸びているのが中国。広東や上海などの沿岸部を中心に、カップヌードルが都会的でスタイリッシュな食べ物として若者に人気だ。

 今年7月に事業を始めたベトナムでは、最新鋭のノンフライ麺の製造技術を導入。既に即席麺市場が形成されつつある同国で、従来とは麺の食感が異なり、健康志向にも配慮した製品を投入する。価格競争もあるが、高付加価値品で勝負を挑む。新たな価値を創造し続けることで、世界市場を牽引する。


マルちゃん
即席麺=Maruchan メキシコでシェア85%

海外進出年:1972年(マルちゃんの輸出開始) 価格:5~7ペソ(約30~40円、メキシコ) 販売国・地域:北米・中米を中心に25

 東洋水産の主力商品である即席麺ブランド「マルちゃん」。米国の即席麺市場で過半のシェアを握る。メキシコでは同85%と、ほぼ独占状態だ。同国では即席麺のことを「Maruchan」と呼び、もはや国民食として根づいている。

 シェア拡大の理由は大きく2つ。94年のメキシコ通貨危機でも撤退せずに商品を提供し続けたことと味つけだ。自分好みに味つけをする人が多い国民性を把握し、あえて薄味にしている。市場を理解して商品を創る。それが、トップブランドを築く基礎になっている。

緑茶飲料
日本の中堅がシンガポール首位 開発やデザインすべて現地化

海外進出年:1960年代後半(タイ、ポッカレモンで進出) 価格:1.2~2シンガポールドル(約77~128円、500ミリリットル) 販売国・地域:約60(飲料全体)

 日本で「ポッカ」と言えば中堅の飲料メーカー。だがシンガポールでは緑茶でシェア70%以上を握り、トップに君臨する。「商品開発、マーケティング、デザインなどをすべて現地で行っているため、地元の嗜好に合わせた商品作りができる」(ポッカ)。東南アジアの緑茶が砂糖入りで甘いのは、現地の好みに合わせた結果だ。



ポカリスエット
海外が国内販売を抜く 知られざる独特な飲み方

海外進出年:1997年(インドネシアでのポカリスエット販売) 価格:6000ルピア(約49円、インドネシア、500ミリリットル) 販売国・地域:インドネシア、中国など17

 世界17の国と地域で販売され、本数ベースで2008年に国内販売を抜いたポカリスエット。中でも急激に伸びている国が、インドネシアだ。1997年に進出し、地道に販売を伸ばしてきた。飲む目的が水分補給である点は日本と同じだが、使われ方は独特だ。

 病気の人へのお見舞いにポカリスエット。インドネシアではこんな習慣が根づきつつある。2005年、熱帯地域特有の感染症であるデング熱が蔓延した。高熱を発し、汗を大量にかく病気のため、水分補給が不可欠だ。その際に水分だけでなく、汗として失うナトリウム成分なども一緒に摂取できるポカリスエットが大流行したのだ。

 現地社員が製品の特長を理解し、地域に根差した販売手法を考えた結果、同国の年間販売本数は約6億本と、日本の半分の数量を売る市場に成長した。



スーパーカブ
世界一売れている“乗り物”
50年経っても古びぬデザイン

 シリーズの累計販売台数は7600万台超。世界一売れているエンジン付きの乗り物だ。燃料タンクをシートの下に置き、フレームをまたぐことなく乗れるようにしたデザインは、1958年の発売当初から大きく変わっていない。

海外進出年:1959年(米国) 価格:約5万5000円(ベトナムでの売れ筋) 販売国・地域:累計160以上(写真:新関 雅士)

 悪路でもバランスよく走行できる大きめのタイヤと、割高だが燃費のよい4サイクルエンジンを採用。当時の2輪車の常識を覆す基本設計で、後に「ホンダらしさ」と称される革新性を存分に詰め込んだ製品だった。

日経ビジネス2012年10月15日号 36~48ページより

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