日経ビジネス版 ASEAN進出ガイド。雑誌『日経ビジネス』の連載として2012年に掲載されました。
シリーズ
緊急連載

完結
17回
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石油資源に恵まれた楽園
周囲をマレーシアに囲まれたブルネイは、敬虔なイスラム教国である。宗教上の権威でもあるハサナル・ボルキア国王(第29代スルタン)が、首相・財務相・国防相を兼任する。国王の権力は絶対的で、議会はあるが予算審議を行うだけの権…
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アジア戦略再構築のカギ
国境を巡る問題で、中国や韓国との関係が悪化する日本。アジア戦略の再構築が迫られる中、ASEANの重要度が増している。「近くて親しい」10カ国は生産拠点だけでなく、消費市場としても魅力は高い。
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日本歓迎の中国寄り国家
進出先を考える際、競合する外国資本の存在は無視できない。その意味で「ASEANで唯一の中国寄りな国」(三井物産プノンペン事務所の中野広士所長)という指摘は留意すべきだろう。
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政権の不安定さが弱点
日本などから投資と技術を呼び込んで工業化に成功。安い人件費を背景に輸出競争力を高め、1980年代は平均成長率が7.2%、90年代も96年までは8.6%という高い成長率を誇った。
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ほほ笑みの国の光と影
大洪水に見舞われた2011年はゼロ成長に落ち込み、日系企業の被害も甚大だった。タイ政府は治水対策に乗り出し、工業団地も自ら防水壁を築いて再発を防ぐ。賃金の上昇は進出企業には逆風となるが、購買力の向上を待つ度量が問われる。
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「アジアの病人」の目覚め
フィリピンの首都マニラ。空の玄関口であるニノイ・アキノ国際空港に降り立った人は「OFW」と書かれた入国審査レーンを目にするだろう。OFWとはOverseas Filipino Workersの略で、海外に出て働くフィリ…
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経済制裁解除、成長へ
長らく続いた社会主義政権が1988年に民主化要求デモによって崩壊。国軍がデモを鎮圧するとともに政権も掌握した。90年の総選挙でアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したが軍事政権は権限を移譲せず、…
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八方美人で大国と渡り合う
隣国の中国、インド、タイにとって、ミャンマーは地政学的に重要な位置を占める。自国の安全保障や経済発展への思惑から、各国政府が支援に乗り出した。長きにわたる経済制裁から解かれた6242万人市場は、大国の狭間で成長を模索する…
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繁栄する「司令塔」
ASEAN諸国に展開するグループ会社などを、シンガポールで統括する日系企業が最近、増えている。それはなぜなのか。法人税率は17%で、日本の30%より大幅に低い。交通や物流インフラ、金融市場も整う。1人当たり名目GDPは先…
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2020年に先進国へ
マハティール首相(当時)が1981年に提唱した「東方政策(ルック・イースト)」によって経済は順調に発展。シンガポールを除けば、ASEAN諸国の中で最も豊かな国に成長した。
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イスラム18億人市場の扉
マレーシア市場はイスラム市場への登竜門である。多くの外国人観光客が訪れるため「ショーウインドー」効果も発揮する。発達したインフラと英語人材の豊富さは、外国企業にとって魅力だ。
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「タイ」プラスワンの候補
「うちがラオスに工場を建てたのは、タイでの実績があったから」紳士用ワイシャツ大手、山喜の宮本惠史社長はこう語る。
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潜在力を生かせるか
フランスによる植民地支配と戦争を乗り越え、ベトナムが国造りを本格化できたのは1980年代に入ってから。社会主義を堅持しつつも、外国資本を取り込み経済成長を目指すやり方は中国をお手本としてきた。
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地の利生かして近代工業化
かつての最貧国の経済は、対外開放政策によって中進国の仲間入りをするまでに発展した。大消費国である中国との近さを生かして、近代工業国家への道を模索する。同じく中国と国境を接するラオスとともにベトナムへの進出適性度を独自評価…
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ASEANのリーダー
ASEANの中で最大の人口を抱える中核国。1997年のアジア通貨危機で経済は不振を極めたが、国際通貨基金(IMF)の協力を得て銀行部門と企業部門の構造改革を断行。その後、経済は安定成長し、2009年の世界金融危機も乗り…
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タイムマシン経営で攻めろ
9月8日、インドネシアの首都ジャカルタにある大型ショッピングセンターの中に、女性アイドルグループ「JKT48」の専用劇場がオープンした。以降ほぼ連日、音楽ライブを開いている。50km離れたボゴール市から鉄道でやってきた…
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中国リスクに備える
日本企業のアジア戦略が根本からの見直しを迫られている。尖閣諸島を巡る問題により中国では日本製品の不買運動が広がった。もとより人件費の高騰で、中国は「世界の工場」という役割を終えつつある。インドもインフラの整備が十分でな…
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