次に全国会議員720人を対象にソーシャルメディアの利用状況を調査した(2012年9月5日時点)。まずホームページやブログについては、ほとんどの議員が利用している。ネット動画、ツイッター、フェイスブックについては、その利用率は2~4割だ。

議員氏名衆/参地域当選回数年齢合計
小沢鋭仁民主党山梨16回58歳7
武正公一民主党埼玉14517
細野豪志民主党静岡54417
中塚一宏民主党神奈川123477
逢坂誠二民主党北海道82537
階猛民主党岩手12457
石井登志郎民主党兵庫71417
白石洋一民主党愛媛31497
永江孝子民主党四国B比例1527
玉木雄一郎民主党香川21437
初鹿明博民主党東京161437
三村和也民主党南関東B比例1377
尾立源幸民主党大阪選挙区2487
金子洋一民主党神奈川選挙区2507
鈴木寛民主党東京選挙区2487
藤末健三民主党全国比例2487
前川清成民主党奈良選挙区2497
大久保潔重民主党長崎選挙区1467
牧山弘恵民主党神奈川選挙区1477
衛藤征士郎自民党九州B比例10717
逢沢一郎自民党岡山18587
古屋圭司自民党東海B比例7597
安倍晋三自民党山口46587
塩崎恭久自民党愛媛16617
野田聖子自民党東海B比例6527
岩屋毅自民党九州B比例5557
河野太郎自民党神奈川155497
平井たくや自民党四国B比例4547
阿部俊子自民党中国B比例2527
平将明自民党東京B比例2457
世耕弘成自民党和歌山選挙区3497
岸信夫自民党山口選挙区2537
佐藤ゆかり自民党全国比例2517
浅尾慶一郎みんな南関東B比例3487
江田憲司みんな神奈川83567
川田龍平みんな東京選挙区1367
中村哲治国民の奈良選挙区3417
福島瑞穂社民党全国比例3567
横粂勝仁無所属南関東B比例1317


議員氏名衆/参地域当選回数年齢合計
田中眞紀子民主党新潟56回68歳0
沓掛哲男民主党北陸信越B比例5830
若泉征三民主党北陸信越B比例2670
磯谷香代子民主党東海B比例1460
川越孝洋民主党九州B比例1690
桑原功民主党北関東B比例1670
野木実民主党北関東B比例1710
樋口俊一民主党近畿B比例1600
山岡達丸民主党北海道B比例1330
山田良司民主党東海B比例1510
保利耕輔自民党佐賀311780
福田康夫自民党群馬47760
棚橋泰文自民党岐阜25490
水落敏栄自民党全国比例2690
中村喜四郎無所属茨城711630
土肥隆一無所属兵庫37730
菊池長右エ門国民の東北B比例1780

注:長勢甚遠議員は政界を引退したため除外。また、棚橋泰文議員(国民の)のHPは工事中。中村喜四郎議員(無所属)はURLがあるが、本人のページと確認できなかった。上の表は、議席数が多い政党>衆・参>当選回数>50音順の順番でソートした。みんな=みんなの党、国民の=国民の生活が第一、B=ブロック

60、70代もネット動画

 世代別ではやはり若手議員の方がソーシャルメディアの利用率が高い。60代、70代になると、ツイッター、フェイスブック、ネット献金の利用率は著しく低下する。ただし、面白いことに、動画配信は60代、70代の議員でも利用率が約4割と高い。党の方針を語れる代表者たちが比較的“高齢”であることと、文章での発信よりも動画の方が比較的使いやすいことが理由だろう(下の表)。

 政党別に所属議員の利用状況を見ると、みんなの党の議員がソーシャルメディアを積極的に利用している。動画配信やツイッターでも、約7割が利用しており、フェイスブックやネット献金でも約4割が利用。同党の議員は比較的当選回数が少なく、知名度を上げるべく積極的に活用している様子がうかがえる。

 公明党の議員も積極的にソーシャルメディアを活用しているが、みんなの党とは使い方が異なる。動画配信やメールマガジンはほぼ半数の議員が利用している一方で、フェイスブックやネット献金をほとんど利用していないのが特徴。公明党に近い傾向は日本共産党や社民党にも見られた。また、民主党を離党した「国民の生活が第一」の議員は、ネット献金の利用率が他党に比べて高い。

 フェイスブックやツィッターは、双方向というほかにネットワーキング型のメディアとも言われ、様々な人を介して不特定多数に発信ができる。ホームページやブログなどはビラミッド型とも呼ばれ、どちらかと言えば、その政治家のホームページやブログを自ら見たいと思う人への発信を主としている。その観点から言えば、みんなの党は、新しい支持層へ、公明党や社民党は特定の支持層へコンテンツを提供しようと考えていると思われ、メディアの利用方法は大きく異なる。

 また、今回の調査で、ソーシャルメディア利用に地域差があることも判明した(下の日本地図)。一言で言えば、”西高東低“となっている。新党国民の生活が第一を立ち上げた小沢一郎代表の地元がある東北地域は、小沢代表自身の積極的なソーシャルメディア利用とは裏腹に、全体としては利用率が低い。小沢代表のもう1つの特徴である“足で稼ぐ”選挙の方が重視されているのであろうか。

ネット激戦区は西日本

 西日本でソーシャルメディア利用の激戦地区となっているのは、和歌山や山口。和歌山県には自民党の世耕弘成・参院議員、山口県には安倍晋三・元首相や岸信夫参院議員など、ソーシャルメディアを積極的に利用する議員がいる。さらに地域全体の議員数が少ない状況下で、お互いにライバルを意識し、ソーシャルメディア利用を加速している可能性がある。東京、神奈川は、ソーシャルメディアを積極的に利用する議員と、逆にほとんど使わない議員が混在している。このような地域では議員数が多く、ソーシャルメディアに頼らない選挙を進めることも、差別化になっているのかもしれない。

 また、取り上げる内容についても、特徴がある。地方では、ご当地ネタを取り上げる議員が多く見られる一方で、都市部では、外交や全国的な話題を掲げる議員が多い。

 最後に、議員個人の取り組みについても触れよう。「利用しているツールの種類が多い」議員に加え、ツールを絞りながらも“実績”を出している議員を見ていく。まず、調査対象とした「7つのツールをすべて利用している政治家」として、自民党の安倍元首相と河野太郎・衆院議員。安倍元首相は、早くからメールマガジンに取り組み始め、「総理として(大手メディアの)フィルターを介さないメッセージを国民に届けたい」(安倍元首相)とツイッターを開始。その後は実名性の高いフェイスブックを中心にコミュニケーションの輪を広げている(友達約5000人、フィード購読者5万人以上)。

 河野議員は、メッセージが明確だ。最近の代表的なものとしては、「反原発」だが、ブログの各回のタイトルも簡潔で、問題意識が伝わりやすい。動画のバナーをホームページの両サイドに配置し、ページの中心でも10分前後で主たる問題提起を動画で見せている。「時間のない有権者、文章を読むのが億劫な方でも、10分くらいの動画なら見てもらえるのでは」(河野議員)と期待して取り組んでいる。自民党のほか、幅広いツールの利用については、民主党、みんなの党の議員が多く名を連ねている。

 ソーシャルメディアの有効活用は、もちろん利用しているツールの多寡だけで判断できるものではない。

 ツイッターのフォロワー数が25万人を超えている民主党の原口一博・衆院議員はホームページのメニューに「ソーシャル・コミュニケーション」というボタンを設置するなど独自の工夫をしている。社民党の福島瑞穂党首もツイッターでは「反対」か「賛成」か読者に分かりやすい発言が目立つ。

背景に既存メディアへの不信

原口 一博(はらぐち・かずひろ)氏:ツイッターのフォロワー数が25万人を超えている民主党議員(上)
安倍 晋三(あべ・しんぞう)氏:以前は、メルマガに取り組んでいたが、最近はフェイスブックでの情報発信に力を入れている(中)
片山 さつき(かたやま・さつき)氏:ツイッター、フェイスブックともトップクラス(下)

 また、ツイッターのフォロワー数12万人超、フェイスブックの友達約5000人・ファンブックの「いいね!」約9万件という自民党、片山さつき参院議員もソーシャルメディア活用では先駆者的存在だ。

 そもそもソーシャルメディアの意義の1つは、既存メディアへのアンチテーゼにある。「『保守系』の論壇は既存メディアには少ない」(片山議員)という問題意識から、ネット上でのダイレクトな情報発信には早くから取り組んできた。それゆえに、現在のネットメディアが抱える課題も分かっている。

 例えば、「ネット上の議論のボリュームは既存メディアの10分の1程度」で「ブログは無名でも読まれるが、ツイッターは名前が売れていないとフォローされにくい」という状況だ。

 また、「(政治資金規正法の関係から)相手の顔がはっきり見えないネット献金にはまだリスクがある」「有権者がソーシャルメディアを見てくれているとしても、選挙の投票行動とは必ずしも連動しない」など、現在のソーシャルメディアは過渡期にあると言う。ただ、それでも「ソーシャルメディアのみならず、国民と向き合うこと、主張がはっきりしていることが大事。そうでないと相手にされない」。ある種、普遍的なコミュニケーションの要諦に留意している結果が、ツイッターのフォロワー数などの“実績”に表れている。

 そのほか、サイトにアクセスした瞬間に本人が歌い出す亀井静香・衆院議員、自らをキャラクター化したアイコンで頻繁に“つぶやく”新党日本の田中康夫代表などソーシャルメディアの活用に“遊び心”とも言える個性を光らせる議員も増えている。

 あの手この手でなんとか有権者と有効なコミュニケーションを図ろうとする政治家たちの真剣な姿勢には、ビジネスマンも学ぶべきものがある。

日経ビジネス2012年9月24日号 50~52ページより

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