調査概要
調査期間は2012年8月30日~9月5日。国会の衆院・参院議員720人が対象。「ホームページ(HP)」「ブログ」「動画配信」「メールマガジン」「ツイッター」「フェイスブック」「ネット献金」の活用の有無を、財団法人日本政策学校の専門チームが調査した。各ツールを活用している場合は1点、していない場合は0点として得点を加算。7ツールすべて活用していれば活用度7、すべて活用していなければ0となる。各ツールを「活用している」と判定した基準は次の通り。 HP:所属政党のHPにURLの記載があるか、グーグルあるいはヤフーで検索できる。ブログ:個人のHPに告知があるか、グーグルあるいはヤフーで検索でき、かつHP以外の外部サービスを利用している。動画配信、メールマガジン:個人のHPに告知がある。ネット献金:HP上に告知があり、かつオンライン決済可能。ツイッター、フェイスブック:HPに告知があるか、グーグルあるいはヤフーで検索できる。いずれも匿名で利用しているケースは対象外とした。

調査協力 日本政策学校「政治のソーシャルメディア活用研究チーム」
野口昌克、渡邊 健、谷口 真也、後藤 進、宇山 大介、小早川 享泰、金野索一、徳吉 陽河、渡邉 大生、梅原 聡、中川 貴大、吉田稔、梅本 愛子、萬本 浩也、筒井 隆彦、堀口 勝正、市川 修、砂子間 正貫、岡村 祐一、菊池 哲佳、藤代 健吾、宝田 実(敬称略)

 ソーシャルメディアが社会を動かしている。2008年の米大統領選挙でのバラク・オバマ氏の勝利しかり、昨今の中東革命しかり。グーテンベルクの活版印刷技術が教会に独占されていた聖書を大衆にも広め、欧州を中世の呪縛から解き放ったように、それは新しい社会や世界を創り出す21世紀の巨大なツールになりつつある。

 昨年3月11日、東日本大震災と福島第1原子力発電所事故を契機に、日本人一人ひとりが安全、エネルギー政策、経済政策に関して、当事者として考えざるを得なくなった。以来、大飯原発再稼働に反対するデモなどが続発しているが、痛ましい出来事で覚醒した個人の政治的意識を束ね、大きなうねりに増幅しているのもソーシャルメディアにほかならない。

 これまで日本では、長年「政治とIT(情報技術)は相性が悪い」(鈴木崇弘・城西国際大学客員教授)と言われてきた。欧米と異なり、政治家と国民が日常的に政策論争をする文化的な土壌がもともとないことに加え、何より、選挙期間中でのインターネットメディアの利用が禁じられている。そんな状況は世界的にも有名で、国際組織「ワールド・ワイド・ウェブ財団」は今年9月、日本におけるネットの政治への影響力を、先進国では最低クラスの「全世界20位」に位置づけた。

ツイッターを自在に操る橋下氏

 だが、ここへきて、事態は大きく変わりつつある。平均的な国会議員を取り上げれば世界水準に及ばないものの、ホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックなどを政治活動に積極的に活用する政治家が急速に増えてきたからだ。その代表格が「大阪維新の会」代表の橋下徹氏。ツイッター上で1日に何度も発言しながら著名人たちと議論を戦わせている。橋下氏にとってツイッターは今や自らの主張を有権者に伝える武器の1つだ。

 こうした流れの中で、「選挙期間中のネット利用禁止」も形骸化しつつある。既に表だって反対している政党はなく、法改正が遅れているだけの問題。選挙期間は参院議員が17日間、衆院議員は12日間だけ。それ以外では規制は一切ない。「事実上の解禁状態」(鈴木教授)という。

 さらに2009年の総選挙以降は、日本でも「ネットでの献金」ができるようになった。同年、楽天がクレジットカードによる政治家への献金サービスの道を拓き、現在では三井住友VISA、JCBなどでも献金が可能だ。ネットでの情報発信から活動資金集めまで、ネットでの政治活動インフラは海外と比べ遜色はなくなったと言える。

 その意味では、次期総選挙は日本初の「本格的ソーシャルメディア選挙」となる。果たしてネットでの政治活動は選挙結果にどんな影響を与えるのか。日経ビジネスは今後ソーシャルネットワークが政治の重要な役割を担うと考え、財団法人・日本政策学校と共同で「政党と国会議員のソーシャルメディア利用の現状」を調査した。その結果、“IT格差”が政党・議員間で広がっている事実などが明らかになった。

 では、まず各政党別のIT活用度から見ていこう。

日経ビジネス2012年9月24日号 46~47ページより

この記事はシリーズ「特集 国会議員「IT活用度」ランキング」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。