KDDIが米アップルの「iPhone」向けに、月額定額で利用し放題のコンテンツ配信サービスを始めることが明らかになった。音楽や動画、ゲーム、電子書籍などのコンテンツを制作会社から集め、月額390円で携帯電話料金に上乗せして提供する。

 同社は既に米グーグルのOS(基本ソフト)、「Android」を使った端末向けに「auスマートパス」と呼ぶアプリ取り放題のサービスを開始し、加入者を拡大させている。爆発的な普及が見込める新機種「iPhone 5」にも同サービスを適用し、スマートフォン向けコンテンツ事業に本格的に踏み出す。

 21日のiPhone 5発売に合わせ、近く試験サービスを開始する見通し。正式サービスは12月初旬を予定する。サービスを受けられるのはauで携帯電話契約しているAndroid端末、あるいはiPhone 4S、iPhone 5のユーザー。試験サービス期間の利用料金は無料にするようだ。

 アップルはiPhone向けのコンテンツ配信として「App Store(アップストア)」という独自の配信基盤を持っており、独自のアプリ配信サービスを携帯電話会社がiPhone上で立ち上げることを認めていない。KDDIはauスマートパス上に、従来のアプリだけでなく、アップルからの規制がかからないウェブ形式のコンテンツを加えることで、独自のiPhone向け配信サービスを実現する。

 auスマートパスは主にAndroid端末向けに500本以上のアプリ、クーポンやセキュリティー関連まで、幅広く取り扱う定額制サービス。月額定額でアプリを好きなだけ使えることが支持され、サービス開始から半年で加入者は200万人を超えた。10月1日以降は、Android端末を利用しているユーザーにも、従来のアプリ取り放題サービスにウェブ形式のコンテンツが加わる。

 KDDIは今年度中にauスマートパスの加入者数を500万人まで拡大する考えで、iPhone対応は、その起爆剤としても期待が集まる。

iPhone 5を取り扱う2社が激突
携帯電話2社の定額制コンテンツ配信サービス

アップル・グーグルに対抗

 既に報じた通り、ソフトバンクも10月から、ウェブサービス利用し放題の「Yahoo! プレミアム スマ得パック(仮称)」を開始する。ソフトバンクは既にニュースサイトや動画、電子書籍、交通案内、占いといった有料コンテンツサイトを約100サイト集めることに成功しているもよう。当初からすべてのコンテンツを提供していくかどうかは未定だが、KDDIとのコンテンツ囲い込み競争の激化が予想される。

 コンテンツ使い放題のサービス対象がiPhone利用者にも広がるのは今回が初めて。KDDIとソフトバンクにとっては、同じiPhone 5を提供する事業者として、通信回線品質や料金以外で差異化を図るポイントになる。

 携帯電話向けコンテンツ配信は、通信料金に上乗せして料金を支払える手軽さから、NTTドコモのiモードなどが新市場を切り開いてきた。スマートフォン時代に移り、主役は端末やOSを握るアップルやグーグルに奪われつつある。

 グーグルも今年5月、これまで売り切り型だったアプリ販売の一部を月額課金制に切り替え始めた。こうした海外大手の動きに、国内の携帯通信事業者がどこまで反撃できるかが、定額配信サービスのもう1つの意義だと言える。

日経ビジネス2012年9月24日号 12~13ページより目次

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