注:丸善丸の内本店のビジネス書の販売上位。集計期間は7月1~31日。価格は税込み

 この夏、ビジネス書の売り場では、様々な切り口の「入門書」がランキングの上位を占めました。タイトルを並べてみると、若手ビジネスパーソン向けと思えるようなものが多くあります。ですが、実際にはこうした入門書を、30~40代の中堅ビジネスパーソンも手に取っています。

 その代表が、3位の『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』でしょう。これまでにも、MBA(経営学修士)に関する書籍は多く出版されていますが、その大半が専門的で難しい。対して、本書はタイトルに「入門」とある通り、平易で分かりやすく書かれています。

日経BP社
1890円
ISBN978-4-8222-4900-7

 執筆しているのは早稲田大学ビジネススクールの著名な教授陣。「仮説思考」の内田和成教授や「見える化」の遠藤功教授など、ビジネススクールの主要科目を1冊でまとめて教えています。ひと通り読むと、ビジネスの原理原則を体系的に学ぶことができます。

 資料作成なども、多くの人が、先輩や上司の見よう見まねや、自己流で通してきたのではないでしょうか。こうした基本を改めて見直して力をつけたい。そんなニーズで売れているのが、9位の『プロの資料作成力』です。

 著者の清水久三子さんは、日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業部でラーニング&ナレッジ部門のリーダーを務めています。ドキュメンテーション(資料・書類作成)の技術を教えてきた彼女が、資料作りを基礎から分かりやすく教えています。それも表面的なノウハウだけではなく、誰に説明するのか、何を伝えるのかを明確にするなど、資料作成に対する考え方も学べます。

 こうした本が上位に入る背景には、ビジネスパーソンが持つ危機感があるのではないかと感じています。

 電機業界の大規模な人員削減をはじめ、働く環境は年々厳しさを増しています。その中で、自分の思考法や仕事の進め方が本当に正しいのかと、改めて基本に立ち返って学び直したい思いが強まっているようです。今、入門本を支持しているのは、ある程度経験を積んだ30~40代なのかもしれません。

(聞き手は 日野 なおみ)

日経ビジネス2012年9月3日号 74ページより目次