医薬品を巡る世界は今、混沌の中にある。川下の調剤薬局は活況に沸き、余熱に中(あ)てられた異業種は「新たな成長産業」と夢に見る。だが、診療報酬の削減で病院や診療所は青息吐息、再編で集約化を進めた医薬品卸も低い利益率にあえぐ。その波に、高収益の代表だった医薬品メーカーものみ込まれつつある。特許切れの逆風と新薬開発の閉塞、その先に待ち受ける世界――。転換点を迎えた医薬品業界の今を追った。

(篠原 匡、飯山 辰之介)
(写真:Getty Images、デザイン:佐々木 繁)

CONTENTS

季節外れの熱狂
クスリに群がる人々

巨大市場の幻想
「宝くじの方がマシ」

「オープン化」が開ける扉
「自前主義はやめた」

霧の向こうの成熟産業
「無競争」という未来

日経ビジネス2012年9月3日号 24~25ページより目次