財布のひもは固いが、安さだけでは満足しないマステージ(新興中間層)。賢い消費者を攻略するのに、従来の開発思想やマーケティング手法では通用しない。価格以上の価値を提供する「こだわり」と、安さを実現する「割り切り」が不可欠だ。


 平均賃金が10年間で4倍となった中国は、アジアの中でもマステージ(新興中間層)が最も多い国だ。日産自動車はこの中国市場でマステージ向けの新車を今年投入し、好調な滑り出しを見せている。 (続きはこちら



 ショッピングモールで昼食を取り終え、オフィスへ戻る若い女性3人組。先頭を歩く女性が新しく開店したランジェリーショップに目を留め、3人は店内へと引き込まれていく――。 (続きはこちら



 「Sushi」という単語が定着するほど海外でも親しまれている「すし」。この日本食の“代名詞”を提供しなくても、海外で日本料理チェーンとして繁盛しているのが「大戸屋」だ。(続きはこちら



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 日本の消費者は世界一厳しい目を持つと言われている。品質と価格のバランスを高い次元で両立させたバリュー(価値ある)な商品でなければ見向きもしない。しかも長引くデフレによって、商品の価格は断続的に引き下げられてきた。その流れについていけなくなった企業もあるが、デフレ下でも価値ある商品を提供できる企業の競争力は一層研ぎ澄まされてきた。

 このデフレ対抗力が今後アジアで生きてくる。経済発展で所得が増えた新興中間層が35億人以上にも拡大する見込みだ。マステージの購買力はデフレで下がった日本人のそれと大差はなくなってきた。むしろアジアを一体として捉えれば、スケールメリットを生かした事業運営が可能となる。

 資生堂のコンビニコスメ、ワコールのセカンドライン、大戸屋の和食などはデフレ下だからこそ生み出されてきた産物と言える。その成功体験は35億人のマステージ攻略でも通用する。

日経ビジネス2012年9月3日号 48~53ページより

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