2008年秋のリーマンショックは世界経済の枠組みを一変させた。国際通貨基金(IMF)が2012年5月に発表した「世界経済見通し」によると、購買力平価基準を用いた新興国の合計GDP(国内総生産)は、2013年に初めて先進国の合計を上回る。

 新興国の躍進は金融危機後に迅速に経済が回復したから。2000年には世界経済の40%以下だった新興国のGDP比率は10年余りで10ポイントも増えた。1人当たりの豊かさはいまだに低いが、経済発展により所得水準の上昇が続いている。貧困層から中間層へと“ランクアップ(昇格)”する消費者が急増している。

 野村総合研究所(NRI)によると、貧困層から新たに中間層(年間所得3000ドル以上2万ドル未満)へと移行した人は2010年に8億人を突破。2030年には賃金の上昇などで35.2億人に膨れ上がると試算している。その結果、従来は三角形を形成していた階層ピラミッドは五角形へと変貌する(下図)。

出所:野村総合研究所の資料を基に本誌作成

 新たに中間層に仲間入りした新興中間層は、安いだけの大衆(マス)向け商品では満足しない。とはいえ、富裕層(プレステージ)向けの高級品を買える購買力は持たない。このマスとプレステージの中間に位置する消費者は「マステージ」と呼ばれる。

 マステージは中国をはじめ、東南アジア諸国連合(ASEAN)でも確実に増加している。欧州を主要な輸出先とする国も少なくないため楽観はできないが、「今後も人口が増える新興国の成長ポテンシャルは大きい」とNRIコンサルティング事業本部の岩垂好彦グループマネージャーは指摘する。

 企業の今後の成長はマステージ攻略にかかっている。まずは先行する資生堂の取り組みを見てみよう。

日経ビジネス2012年9月3日号 45ページより

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