日本は国を挙げて照明のLED(発光ダイオード)化を推進中だ。政府の後押しや東日本大震災による節電意欲の高まりで、LED電球は昨年、想定を上回るペースで普及した。だが特需に沸くはずの照明メーカーは、「利益なき繁忙」という現実に直面している。LED化の波が、新たな成長分野を生み出し、一筋の光を照明市場に与えたのは事実。半面、長寿命化による交換需要の減少や参入事業者の急増で、競争環境はより過酷なものに変わった。安定的な国内市場にこもってきた大手照明メーカーは、事業構造の転換を迫られている。

(戸川 尚樹、田中 深一郎)
(写真:Klaus Mellenthin)

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LED照明の光と影
宴は終わり、長寿命化のツケが迫る

メーカーの生き残り策
新市場を切り拓けるか

日経ビジネス2012年8月27日号 44~45ページより目次