2012年8月20日号
-
特集 モノ作りは死なず
反転攻勢の狼煙
日本を代表する「町工場の集積地」とうたわれる東京都大田区。この地に本社を構える特殊油圧シリンダーメーカー南武の野村和史社長(73歳)は、長年にわたって地場産業の興亡を見つめてきた。
-
特集 モノ作りは死なず
空洞化は幻想だった
「産業の空洞化論」を真っ向から否定する中小企業経営者がいる。海外工場からの利益還元で国内の技術力が磨かれ、雇用も増えたという。逆説的だが、海外への生産シフトが日本のモノ作りを再生させるかもしれない。
-
特集 モノ作りは死なず
「脱・下請け」強み磨く
空洞化がささやかれる日本のモノ作りだが、最高益を更新する中小企業も少なくない。いずれも「脱・下請け」を実現し、大手メーカーに欠かせない存在となっている。低価格、短納期、ビジネスモデル刷新、他企業との連合などが勝ち残りの道だ。
-
特集 モノ作りは死なず
伊藤製作所
名古屋から急行電車で30分。金型製造、プレス量産の伊藤製作所(三重県四日市市)の工場には80台のプレス機が並ぶ。稼働するプレス機は間断なく部品を吐き出し、建屋の片隅には若手が削る金型を見守るベテランの姿がある。
-
特集 モノ作りは死なず
堀尾製作所
「『新しい亜鉛合金』で用途を広げ、市場そのものを拡大する」。亜鉛鋳造部品を製造する堀尾製作所(宮城県石巻市)の堀尾正彦社長は、こう意気込む。同社は、従来の亜鉛合金に比べて引っ張り強度が2倍の新合金を開発した。
-
特集 モノ作りは死なず
エーワン精密
サプライヤー(部品などの供給業者)にとって重要なことは、顧客にとって欠かせない存在となり、「儲けの仕組み」を確立することだ。それは唯一無二の技術であったり、納期の正確さであったり様々だろう。
-
特集 モノ作りは死なず
東成エレクトロビーム
東京・西多摩の瑞穂町にある東成エレクトロビーム。本社工場には最新鋭の電子ビーム溶接機やレーザー加工機が並ぶ。これらの最新鋭機はアーク溶接などに比べて出力が高いなどの特徴がある。
-
特集 モノ作りは死なず
海外や他系列からの受注も
40平方メートルほどの工房に、大人が両手を広げて一抱えほどの研磨機が5台。粉塵を吸い取るためのダクトや、冷房装置のホースが上部を取り巻く。職人が、高速で回転する砥材にステンレス製のビアマグを当てると、表面が研ぎ澄まされ、光を反射する。
-
特集 モノ作りは死なず
だから「作り」続ける
国内の中小企業が壊滅すれば、大手企業も競争力を失う。日本のモノ作り再生への真正面からの取り組みが、東北から始まった。モノ作りは日本経済の生命線。その死守に向けた戦いが進む。
-
特集 モノ作りは死なず
モノ作り復権のヒントは「限界の外」にあり
製造業(モノ作り)が苦境に陥ると、決まって出てくるのが「これからの日本はサービス業に力を入れるべきだ」「国内での生産はもうダメだから海外に出ていこう」といった意見だ。これらはあまりに短絡的ではないだろうか。
-
特集 モノ作りは死なず
捲土重来期す米国
米国がモノ作りの再生に本腰を入れている。狙いはもちろん雇用の創出だ。国内外の大手メーカーも海外に置いていた工場を米国へと移し始めた。新興国がインフレで競争力を失いつつある今、製造業立地競争は総力戦の色彩を帯びる。
-
特集 モノ作りは死なず
ドイツ、社会保障抑え輸出競争力保つ
ドイツ経済が好調を保っている。ドイツのGDP(国内総生産)は2011年に実質で3%増加した。これはユーロ圏の平均成長率(1.5%)を大きく上回る水準だ。原動力となったのは、1兆ユーロ(約95兆円)を上回り過去最高を記録した輸出である。