LCC(格安航空会社)の相次ぐ参入や羽田空港の拡張、日本航空(JAL)の再上場など、何かと話題の多い航空業界。今号の特集では、7年ぶりにエグゼクティブが選ぶエアライン満足度調査を復活させました。企業の合従連衡が相次ぐこの業界にとって7年の歳月は長かったようです。国際線の調査では、かつて上位の常連だった全日本空輸(ANA)とJALがベスト3から外れました。エミレーツ航空に代表される中東勢の台頭など、様々な地殻変動が見られます。

 結果を見て改めて感じるのは、世界の空の争奪戦は、国家の盛衰を賭けた戦いだということです。ランキング上位に名を連ねる航空会社の多くは、シンガポール、ドバイ、スイス、香港など、背後に有力な国際ハブ空港を抱えています。とりわけ人口が少なく、資源が乏しい小国にとっては、周辺諸国の需要を取り込むことが成長戦略の要。国家を挙げて空港の利便性向上やコストダウンに取り組んでいることが、結果として、自国のエアラインの満足度向上にもつながっているようです。

 気になるのが、日本の国際線の輸送実績が長期的に低迷していることです。詳しくは特集で紹介していますが、この10年間で、世界の輸送実績が59%増えているの対し、日本は3割も落ち込んでいます。この間、湾岸3国は5.2倍、中国は3.3倍に伸ばしています。国内ではJALの再建などに関心が行きがちですが、世界を鳥瞰すれば、日本の航空産業全体が「負け組」になりかけています。世界の空の競争は、まさに「鳥の眼」になって見ないと、実態がつかめません。 (山川 龍雄)

日経ビジネス2012年7月2日号 1ページより目次

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