社会保障と税の一体改革関連法案の衆院採決を巡り分裂状態に陥った民主党。消費増税の道筋はついてもTPPなど、ほかの重要課題の先行きは不透明だ。“敵対の政治”が続く間に、日本の競争力が一段と損なわれようとしている。

野田佳彦首相に牙をむいた小沢一郎氏(右)。もはや“ノーサイド”後の修復は不能だ(写真左:共同通信、右:AP/アフロ)

 消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の衆院採決を巡り、分裂の危機に直面した民主党。関連法案は6月26日、賛成多数で衆院を通過したものの、焦点の消費増税法案では同党から50人台後半の議員が反対に回るなど大量の造反が出た。党分裂の危機をちらつかせ野田佳彦首相に採決断念を迫った小沢一郎・元代表と、野田首相側との関係は修復不能なレベルに達した。

 民自公の3党協議をひっくり返そうと牙をむいた小沢氏。理由として「マニフェスト(政権公約)に消費増税を掲げていなかった」ことなどを挙げる。

 「民主党に残って再生に力を尽くそう」。関連法案採決後の支持グループ会合で、小沢氏はこう強調してみせた。その後の会見では「最後の努力をし、近いうちにどうするかを決断する」と語り、新党結成にも含みを残した。

 もっとも、6月22~24日に実施した日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査で、小沢グループなどの行動を「理解できない」とした回答が53%に上った。さらに、小沢氏に政治の場で「影響力を発揮してほしい」は26%で、「影響力を発揮してほしくない」(65%)の半分に満たない結果となったことは、示唆に富む。世論の多くは「反消費増税」を大義に拳を振り上げる小沢氏の真意は、自らの政治生命の維持にこそあると見透かしているのだろう。

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