各界をリードする賢人たちの警鐘に耳を傾ける。雑誌『日経ビジネス』の人気連載。
シリーズ
賢人の警鐘

463回
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ミスミ三枝氏「日本企業の活性化には戦略の問題だけでは足りない」
業績不振の日本企業の中をのぞくと、会社は大赤字なのに、社員は危機感が薄く、悪いのは上層部や他部署のせいだと批判している社員が多いことは、これまで本欄で何度か触れてきた。
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土屋哲雄ワークマン専務「社外取締役は冗員だらけ。だから実績十分のユーチューバーに期待」
今年も株主総会の季節が巡ってきた。ワークマンは6月29日に開催するが、そこで新たな社外取締役に「サリーさん(本名:濱屋理沙さん)」を選出する予定だ。サリーさんはキャンプブロガーであり、YouTuber(ユーチューバー)と…
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エモット氏「アジアの紛争による日中対立リスクは甚大。日本企業は備えを」
昨年、欧米では中国から切り離す、あるいは切り離されることを意味する「デカップリング」という言葉が流行した。中国に供給網や主要な市場として依存することで、自国経済やビジネスにもたらされるリスクを軽減する戦略を意味する言葉だ…
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村木厚子氏「育休取得率の向上、カギ握る上司の働きかけ。生産性向上の効果も」
男性の育児休業取得率の向上を目指して、育児・介護休業法が改正された。いわゆる「産後パパ育休」というものだが、取得率向上を目指して、各企業ではさまざまな取り組みが始まっているという。最近では「育休取得者の同僚に最大で10万…
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東レ・日覺氏「まさに雇用こそ、 真のサステナビリティー。日本的経営に回帰せよ」
感染症法上の分類が5類に移行するなど、新型コロナウイルス禍からの正常化が進む中、企業活動の面では回復が非常に遅れている。その背景には、欧米の金融資本主義的な考え方があると思う。つまり、事業が傾けば従業員を解雇し、仕事がな…
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ブレマー氏「国内分断をあおる起訴でトランプ氏に再選可能性。米国の外交能力は弱体化へ」
ドナルド・トランプ前米大統領の起訴は、2024年の大統領選を前に彼の立場を強くした。ポルノ女優のダニエルズ氏に支払った口止め料に関連する罪などに問われているが、彼への容疑の中でも圧倒的に弱い案件だ。これをニューヨーク州進…
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川本裕子氏「日本国民の低エネルギーどう高めるか意識すれば、将来の展望につながる」
最近、多くの民主主義国家で社会的騒乱が目立つ。問題は多様だ。フランスでは、マクロン大統領の下で政府が提案した年金受給年齢引き上げの法案を巡り、100万人以上が参加する抗議活動が全土で展開されている。私もフランス在住時に壮…
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中神康議氏「優秀な人材獲得のため賃上げだけでなく、株式報酬を増やすべきだ」
「株式報酬年次バーンレート」という言葉をご存じだろうか? 企業の発行済み株式総数のうち、役員や従業員に対して単年度で付与される株数の比率だ。世界各国で普及している「株式報酬」制度のキーワードでもある。報酬コンサルティング…
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長谷川眞理子氏「日本は頭を使わずとも暮らせる国か。過保護な社会がもたらす弊害」
「この国にいると、何も考えなくても生きていけるわね。バカになりそうだわ」。以前、英国人の友人が日本に遊びにきた際に言った皮肉が忘れられない。日本では、どこの施設に行っても大抵のサービスが行き届いている。
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大橋洋治氏「対話が重要なのに、日本と中国でほとんどない 首相がもっと動くべきだ」
4年半、担当してきた「賢人の警鐘」だが、私は今回で卒業となる。移民政策からリーダー論に至るまで様々なテーマで筆を執ってきたが、ずっと根底にあったのは対話、コミュニケーションの重要性だ。これは当然、度々話題に出してきた国際…
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ミスミグループ三枝会長「再生に戦略論だけでは不十分」
長期の業績低迷に悩んできた会社に、社外から任命された改革リーダーが現れると、社内では何が始まるのかと、改革者の一挙手一投足に耳目が集まる。私がかつて手掛けた1兆円企業の中の不振事業再生でもその反応は複雑だった。歴代の事業…
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土屋哲雄ワークマン専務「一つのことしかしない。時間をかけて考えれば、成功の可能性は高まる」
会社は、無駄だらけだ。無駄なことをやめさえすれば、時間はかなり捻出できる。だから、私は「会社では一つのことしかしない」という覚悟を持っている。ワークマンの役員は、監査等委員を除けば、上場会社として最低限の3人だけ。
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エモット氏「米国は中国に抜かれない。コロナ禍やインフレでも 米国経済は強かった」
米国の政治は過去10年間で、自由な世界のリーダーとしての米国の理念を覆すような衝撃を生み出してきた。ドナルド・トランプ氏の大統領就任や、連邦議会襲撃という衝撃もあった。
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村木厚子氏「再犯者率が高い日本 出所者の社会復帰促す仕組みづくりを」
冬になるといつも思い出すことがある。厚生労働省で局長をしていた2009年、大阪地検特捜部の検事による郵便不正事件の証拠改ざんに巻き込まれ、大阪拘置所に勾留されていた時のことだ。
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ブレマー氏「世界で進む兵力強化。工業政策不可避の米国で日本に千載一遇の商機」
2023年に我々を待ち受ける最大の地政学的リスクは間違いなくロシアだ。ロシアには核兵器がある。今すぐ核が我々を襲うとまでは思わないが、キューバ危機以来最大の危機、かつその時よりも悪い状況だ。
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川本裕子氏「世代ギャップを超えた 組織の活性化で、『未知の ゾーン』を乗り越える」
年上の人間が「近ごろの若い者は」と嘆くのは、人類の習慣のようなもので、ずっと続いているらしい。若者の現状を嘆く言葉が古代にも残されているとのことだ。そうはいっても、近年の日本ほど、働き方についての世代間の意識ギャップが目…
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中神康議氏「アクティビストには経営理論に従った実効的な手を打て」
事業再編を含む経営戦略や株主還元について強硬に提案することで株価を高め利益を得ようとするアクティビストが、日本企業に対し存在感を増している。東芝ではアクティビストが社外取締役に就き、経営陣と対立。セブン&アイ・ホールディ…
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日覺昭廣氏「品質不正、デフレ心理の裏に契約順守意識欠如。適切な価値の訴求を」
東レ製の一部の樹脂製品で、米国の第三者認証を不正に取得していたことが発覚。コンプライアンス(法令順守)徹底に向けた取り組みに手応えを感じ始めていただけに、非常にびっくりしたし、残念に思っている。
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柿木厚司氏「洋上風力発電はものづくり力を示す大好機。国内で供給網育成急げ」
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で国際的にエネルギー供給が混乱している。ただ気候変動対策は地球規模の課題で、脱炭素に向けた大きな流れを止めてはならない。日本政府は2050年の温暖化ガス排出実質ゼロに向けたグリーン成長戦略…
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長谷川眞理子氏「女性だけでなく男性も。子供と接することで脳にスイッチが入る」
私事だが40年近く、ペットを飼っている。ペットを飼いだしたのは、東京大学のキャンパスに迷い込んだ子猫を拾ったのがきっかけだった。その次に飼ったのが同僚に譲ってもらった犬。当時、私は20年近く飼った猫を亡くして悲しみにくれ…
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この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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