自動車でビッグスリーと言えば、かつてはゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーのいわゆる米ビッグスリーを指しました。その後、クライスラーの不振を受け、GM、フォード、トヨタ自動車の3社を新ビッグスリーと呼ぶこともありました。では、今、ビッグスリーと呼ぶのにふさわしい企業はどこか。規模はともかく、勢いで判断すると、独フォルクスワーゲン(VW)、韓国・現代自動車、仏ルノー・日産自動車の3社となるでしょう。

 なぜ、この3社は勢いがあるのか。特集で紹介していますが、日産のカルロス・ゴーン社長の分析によれば、「ドイツ、韓国、日本とも規律正しい文化を持っている。様々な技術や能力、サプライヤーや販売会社を集めて組み上げるクルマ作りは、規律正しさが問われる」。国民性や企業風土はその国の歴史や教育に根差したものです。ブラジル生まれでフランス育ちのゴーン氏の目には、日本やドイツなどが重んじる規律や几帳面さが、何物にも替え難い強みに映っているようです。

 3社の共通項がもう1つあるとすれば、リーダーシップでしょう。VWのフェルディナンド・ピエヒ会長、現代の鄭夢九(チョンモング)会長、ゴーン社長のいずれも、コストダウンの設計手法や新興国攻略において、従来型の経営手法に縛られない進取の精神を見せています。トップから発せられるビジョンや戦略が、規律ある組織に伝達され、自動車の競争力向上につながっていく。その好循環が現在の躍進を支えています。特集で世界の有力自動車メーカーの実力を比較しました。

(山川 龍雄)

日経ビジネス2012年6月4日号 1ページより目次

この記事はシリーズ「編集長の視点」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。