カラーテレビが自宅の居間に届いた日のことは今でも覚えている。父がチャンネル権を握り、子供たちは正座して目を輝かせた。平面ブラウン管テレビが出た時は自慢したくて友達を呼んだ。今、大型スーパーで、薄型テレビは紙おむつと一緒にカートに突っ込まれる。売る側にも買う側にも感動がなくなったのに、世界を支配するという野望に取りつかれたメーカーは、過剰投資と叩き売り競争に突き進んだ。赤字を垂れ流してもまだテレビにしがみつこうとしている。家電ニッポンよ、目を覚ませ、テレビを捨てよ。再び人々の目を輝かせる商品の芽を探せ。

(編集委員 小板橋 太郎、阿部 貴浩、戸川 尚樹、田中 深一郎)
(写真:Getty Images、デザイン:岡田 木華)

CONTENTS

ドキュメント「家電同時崩壊」
ドミノ倒しの舞台裏

冷え込む需要
もはや主役ではない

再起の条件
「変態」をためらうな

先行者のヒント
日立、脱テレビで復活

日経ビジネス2012年5月21日号 24~25ページより目次