知っていましたか。年収1000万円のサラリーマンの給与の手取り額が4年後には50万円以上減少することを──。

 今号の特集で紹介していますが、大和総研の試算では、健康保険や厚生年金の料率変更などによって給与から天引きされる金額が増え、夫婦の一方だけが働く年収1000万円(手取り781万円)の4人世帯では、可処分所得が2016年に年間で7.1%(55万円)も減少するそうです。同年収500万円(手取り429万円)世帯でも17万円減るとのこと。世間では、消費税増税に関心が集中していますが、多くのサラリーマンにとって、家計に与える影響は、むしろ、こちらの方が重いかもしれません。

 ご存じの通り、健保や厚生年金は労使で折半するのが基本ですから、企業の負担も深刻です。どのような企業が大きな影響を受けるのか。中身をつぶさに見ると、大企業や、パートを大量に活用している一部の業種などへの偏りが見られます。全体として言えるのは、企業も個人も「取れるところから取る」傾向が強まっていることです。まさに“官製”人件費による際限なき経営の圧迫。各種の制度改正による負担がほぼすべて覆いかぶさる4年後は、さしずめ「人件費の2016年問題」と呼んでもおかしくないでしょう。

 人件費と言えば、通常、従業員に直接支払う給与を連想しますが、今号では、こうした、もう1つの「見えない人件費」の問題について考察しました。今から備えておかなければ、企業によっては膨らむ人件費が原因で破綻しかねません。

(山川 龍雄)

日経ビジネス2012年5月14日号 1ページより目次

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