韓国・現代自動車が、抑制していた新車販売を加速させる。年末までは「量より質」を重視し、品質管理体制を総点検する。万全を期して、4位の日産・ルノーを逆転すべく攻勢を強める。

 韓国・現代自動車は品質管理体制を総点検するために2012年初めから一時的に抑制していた新車販売のペースを、2013年に再加速する。生産能力を高めたうえで、新型車を投入するなどして、アクセルを一気に踏み込む。

現代自動車のSUV「サンタフェ」の新モデル。高い品質が販売を支える

トヨタの悪夢、他人事ではない

 事業拡大のカギを握るのは、世界最大の自動車市場となった中国。現地メーカーとの合弁会社である北京現代汽車の白孝欽(ベクヒョフム)社長は、「現代自動車の新車販売台数は現在、世界5位だが、(中国などでの)生産能力が高まれば4位の日産自動車・仏ルノー連合に追いつけるかもしれない」と自信を覗かせる。

 中国では2012年下半期に新工場が完成する予定で、同国での生産能力は年間60万台から一気に100万台まで高まる見込みだ。

 2012年は上位追撃に向けた準備期間と位置づけている。現代自動車の鄭夢九(チョンモング)会長は2012年初めに年内の新車販売を世界規模で抑制する方針を表明していた。2011年は前年比15%増の660万台を売り上げていたが、2012年の目標は同6%増の700万台と、成長率を半分以下まで落とす(傘下の起亜自動車を含む)。

 背景にあるのは、2010年に米国で起きたトヨタ自動車の品質問題を巡る騒動だ。現代自動車の関係者によると、「ブレーキに不具合があるとして米国社会から批難を浴びせられたトヨタの惨状を目の当たりにして、経営陣は『明日は我が身かもしれない』との強い危機感を覚えた」という。

 当時、米議会の公聴会に呼ばれたトヨタの豊田章男社長は、「事業の急拡大に人材育成が追いつかなかった」と釈明し、品質管理を徹底することを約束した。現代自動車の経営陣がこの騒動を「他山の石」としたのは、同社もまた拡大路線を邁進していたからにほかならない。

 かつて世界市場で現代自動車は「安かろう、悪かろう」のイメージが定着し、販売が伸び悩んでいた。ところが2000年代に入ってから拡大基調に転じた。特に過去3年は2ケタの伸びを維持していた。

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