ユーロが再び世界の動揺を呼び覚まそうとしている。1300億ユーロを費やしたギリシャへの追加支援や、欧州中央銀行の1兆ユーロを超える長期資金供給で、夜明けの訪れにも見えた世界の情景は偽りなのか。ギリシャを襲った危機が他国に波及する恐れはないのか。通貨統合が崩壊の瀬戸際まで追い詰められることはないのか。ユーロ危機を克服し、財政再建と経済成長を両立する条件を探った。

ユーロ運命共同体は17カ国に拡大した

(編集委員 市村 孝二巳、ロンドン支局 大竹 剛、蛯谷 敏)
(写真:Getty Images、デザイン:山﨑 由梨)

CONTENTS

困窮する経済
守られぬ改革の約束

  • スペイン:第2の震源
    高騰する失業率、莫大な不良債権
  • ギリシャ:広がる絶望
    機能不全の経済、忍び寄る公約破棄

袋小路の指導者
政治が招く危機再来

  • フランス:メルコジ体制の終わり
    EU統合に背を向ける大国
  • イタリア:救国内閣、高い支持率いつまで
    機能不全の経済、忍び寄る公約破棄

格差に挑む通貨統合
国家の壁を越えて

ギリシャ債務削減交渉、民間側責任者に聞く
「ギリシャは特殊なケースだ」

日経ビジネス2012年4月23日号 26~27ページより目次