内部統制や情報開示の強化...。この10年でコーポレートガバナンス(企業統治)は格段に強化されたはずだった。
だが結果はどうだったか。オリンパス、大王製紙の両社で起こった不祥事は、新ガバナンス制度が“画餅”にすぎなかったことを如実に示した。日本企業はガバナンス制度を単なる「中間・期末試験」と勘違いしていなかったか。その場の試験をクリアしても肝心の学力がアップしていなければ意味がないように、ガバナンス制度もそれを経営力や業績の向上に反映させなければ無意味だ。ガバナンス形骸化が長引けば、業績低迷はもとより、オリンパスなどのような不祥事も再発しかねない。
経営はなぜチェックされなければならないのか。日本企業は今、虚心坦懐に問い直す時期にきている。

(編集委員 田村 賢司、白石 武志)
写真上:時事通信、下:AFP=時事 デザイン:藤田 鮎美

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大王製紙、内紛の深層
企業統治は内から腐る

監査法人、銀行の罪
外部の目は節穴か

ソニーとニッセンの明暗
業績は統治で変わる

日経ビジネス2012年3月19日号 26~27ページより目次