挑んだものの道半ばで敗れた者や苦境に立ち失意の中にある者たちが、時に改悛し、時に来し方の戦術を振り返る。敗軍の将は兵を語らず。しかし丹念な取材で聞き出した証言は、次に挑む者たちの道しるべになるだろう。週刊誌『日経ビジネス』の名物連載。
シリーズ
敗軍の将、兵を語る

446回
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長野県議選、知名度不足覆らず
4月投開票の長野県議会議員選挙に出馬したが、ライバルたちの固い地盤を崩せず、完敗した。現職と一騎打ちになると見込むも、別の候補者も出馬。三つどもえの中で知名度不足を覆せなかった。藻谷氏は「地方だからこそSNSを活用すべき…
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北海道知事選、出足の遅れで泣く
与野党対決で4月の北海道知事選挙に挑んだものの、自民党などが推薦する現職に敗北した。出馬表明が投開票日の約2カ月前と出足が遅れ、駆け足で支持を訴えたが、全道を一巡できなかった。池田氏は「今回は選挙に勝つための戦略がほとん…
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丹下建築の旧香川県立体育館、再生の声届かず
著名建築家・丹下健三氏の代表作の一つである旧香川県立体育館(高松市)の解体が決まった。歴史・文化的観点から解体撤回の署名を集めて香川県に提出したが、県側の方針は覆らなかった。10年間にわたって保護活動を続ける中、不透明な…
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島根県・石見銀山の転落事故、遅きに失した修繕
島根県・石見銀山の古い町並みで3月、腐食した防護柵にもたれかかった観光客の女性が川に転落し、死亡した。この防護柵は約2年前、市民から「危険だ」との連絡があったが、予算の都合で修理が2023年度に遅れていた。市は木製から金…
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アサヒビール神奈川工場の閉鎖、南足柄市のふるさと納税に痛手
神奈川県南足柄市で2002年から操業してきたアサヒビール神奈川工場が1月、閉鎖した。雇用や税収への影響に加え、市のふるさと納税の返礼品から主力の一つだったビール類が消える事態に。これまでの寄付金収入を使った企業誘致や観光…
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松本の伊勢町商店街振興組合が解散、街づくりに時間を割けず
長野県松本市の中心部にある伊勢町商店街の組合が人手不足で解散し、人気イベントも終了する。近隣の商業施設「松本パルコ」の閉店も決まり、「街の存在意義が問われている」と危機感を募らせる。復活へ期待するのが個性的で魅力的な店を…
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内部通報を巡る法廷闘争の記録、裁判所に廃棄された
内部通報を巡って不当な扱いを受けたとして、勤務先のオリンパスを訴えた裁判の記録を東京地裁が廃棄していた。公益通報者保護法の改正にも影響を与えた社会的に意義深い訴訟だとして現在、裁判所に復元を求めている。全国を揺るがせた神…
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34年前に廃止された最北部の鉄路 もう代替バスすら維持できない
利用低迷で国の補助金が絶たれ、34年前にJR北海道・旧天北線から運行を引き継いだ代替バスの一部廃止が決まった。自治体でワンボックスカーを用意し、事前予約制で廃止区間の輸送を担うが、観光客誘致への悪影響を懸念する。ロシアに…
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小中学生がいなくなり、100年以上続いた地区唯一の商店を閉店
九州本島最南端の鹿児島県南大隅町で、100年以上親しまれてきた商店を昨年末に閉店した。店周辺はかつて林業などで栄えたが、人口減少で小中学生がいなくなり、90歳を目前に決断した。「地区のためにやり切った」と語る一方、地区唯…
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下北沢の地域通貨「シモキタコイン」、強敵出現で利用広がらず
下北沢(東京・世田谷)の商店でスマホ決済ができる電子地域通貨「シモキタコイン」の終了が決まった。加盟店に株主となってもらい、「若者の街」の経済を盛り上げるビジョンを掲げたが、利用は伸び悩んだ。予算が潤沢な世田谷区が自ら地…
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24時間営業が相次ぎ取りやめに、夜中のタクシーはもう出せない
新潟県上越市のタクシー会社が24時間営業を相次ぎ取りやめ、平日夜はほぼ稼働しなくなった。新型コロナウイルス禍で慢性的な人材不足に拍車がかかり、出産など緊急時でも対応が難しいという。訪日客が戻りつつある今が踏ん張りどきと歯…
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船橋の老舗海苔店が閉店、温暖化で東京湾の生産量が激減
東京湾で採れる江戸前海苔(のり)を販売する老舗海苔店、船福(千葉県船橋市)が2月末で閉店する。海水温上昇で海苔の生産量が激減する中、設備老朽化なども重なって、事業の継続を断念した。半世紀にわたって海苔のおいしさを伝え、「…
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「ウォーホルの3億円の箱」を税金で購入したら県民から批判殺到
米芸術家アンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」を、鳥取県として税金で購入することを主導した。だが、県財政が厳しい中で3億円もの巨額支出となり、県民から批判が殺到した。2025年春に開館する鳥取県立美術館の目玉として展示…
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惜しまれて消える昭和の火「ブックマッチ」
喫茶店に置かれ、たばことともに親しまれた「ブックマッチ」を国内で唯一製造していたが、昨年終了した。喫煙人口の減少で需要は減り続け、製造装置を動かすのは年間わずか3、4回だった。マッチ業界全体でも先行きは厳しいが、不易流行…
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宮崎県知事に返り咲きならず 1期4年で投げ出した批判根強く
昨年12月25日の宮崎県知事選挙で返り咲きを狙ったが、組織票を固めた現職に僅差で敗れた。2007年に県知事になった後、わずか1期4年で辞めたことへの批判が根強くあったと振り返る。謝罪し、2期目不出馬の「真実」を説明して回…
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浜名湖のアサリ激減、漁協単独での資源回復策には限界
全国有数の漁獲量を誇った静岡県・浜名湖のアサリが深刻な不漁に見舞われている。昨年の漁獲高は組合員1人当たり約10万円分まで落ち込み、漁業をやめる組合員が後を絶たない。漁協単独での資源回復の対策には限界があり、地域全体での…
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暴言で退任を表明した明石市長、市議会への11年分の怒りが爆発
3年前に発覚した市職員への暴言に続き、10月に市議に暴言をはいた責任を取って市長を退任すると表明。アンガーマネジメントに取り組んできたが、積もり積もった市議会への怒りが爆発したという。12歳で誓った「市長になって明石を優…
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銚子の老舗そば屋閉店、毎日11時間の仕込みに体力の限界
千葉県銚子市で1856年から続くという老舗そば・うどん店が7月末、閉店した。伝統の味を守ろうと、機械化を避けて毎日11時間かけてきた仕込みが、逆に身体の負担になった。いい味を提供できなくなる前にとの苦渋の決断だが、客から…
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長崎県石木ダム、建設差し止めの裁判で敗訴も闘い継続
長崎県と佐世保市が計画するダム建設の差し止めを求めた裁判で、住民側の敗訴が確定した。計画が本格始動してから半世紀にわたり反対してきたが、このままだと先祖伝来の土地が水没する。自然豊かな集落を子や孫の世代に残せるよう、座り…
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夏の甲子園決勝、惜敗も万感の思い
山口県勢として37年ぶりに夏の甲子園決勝に進んだが、仙台育英(宮城)の前に涙をのんだ。17年前、集団万引き事件を起こしたチームの立て直しを志願し、練習環境を地道に整えてきた。共同生活でコロナ禍に耐えた一体感がチームを強く…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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