
昨年11月に実施された大阪市長・府知事のダブル選挙で、前大阪府知事、橋下徹が率いる「大阪維新の会」が大勝、大阪都構想と市役所改革に向けて動き出した。衝突も辞さずに既得権に切り込む橋下を前に、労働組合や市役所関係者は身構える。
対立構図を行政改革の推進力にしている大阪市と大阪府。それに対して、全国的には目立たないが、広島県でも行政改革が静かに進行している。
その主役は2009年11月に就任した広島県知事、湯崎英彦だ。
東京大学法学部を卒業後、通商産業省に入省。スタンフォード大学への留学を経て、2000年に経済産業省を退官すると、ADSLや光ファイバー回線などを提供するアッカ・ネットワークスを創業した。副社長として同社を株式公開に導いている。
官僚機構と企業経営の論理を知悉(ちしつ)する湯崎。劇場型リーダーではないが、この2年で職員の意識改革や予算主義の脱却、政策の選択と集中などを着実に実行してきた。大阪を「動」と見れば広島は「静」。新米知事は官僚機構とどう対峙し、どう変革したのか。