2012年2月13日号
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特集 資産逃避
case1 香港
1月18日の午前10時、香港・九龍半島の繁華街、尖沙咀(チムサアチョイ)。アフタヌーンティーで有名なペニンシュラホテルや飲食店、両替商などが並ぶ大通りの一角にあるHSBCの支店窓口に、小野正氏(仮名、39歳)が立っていた。日本から手荷物扱いで運び込んだ日本円を入金するためだ。
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特集 資産逃避
国境またぎ、西へ南へ
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特集 資産逃避
case2 マカオ
小川泰平氏(50歳)は神奈川県警や警察庁に在籍してきた元刑事だ。県警では外国人犯罪を取り締まる国際捜査課などに所属し、受賞・表彰歴は500を超える。地道な現場捜査の実情を綴った著書もある。
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特集 資産逃避
case3 シンガポール
大学で教員を務める広野直行氏(仮名、40代)は10年ほど前、妻と小学生の子供を連れてシンガポールに移り住んだ。採用してくれた現地の大学で良いポストにも恵まれ、今後もとどまるつもりだ。「国際競争力を意識した研究がしやすい。日本に帰国するつもりはない」と語る。子供は欧米の大学に留学させることも視野に入れ、現地校に通わせている。月給と月々の生活費は日本とほぼ同額だが、所得税が安い分、生活にもゆとりが生まれた。
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特集 資産逃避
case4 オフショア・ファンド
大阪府在住の西谷敦氏(仮名、29歳)はネットオークションで生計を立てている。仕組みはこうだ。西谷氏いわく、ネット上に「恐らく中国に輸出するのだろう、ニコンのデジタル一眼レフなどを数十台単位で買おうとする人がいる」。なじみの家電量販店に足繁く通い、販売ノルマ達成などの見返りに店頭価格より安い価格で仕入れる。これをネットで商品を求めている人に「納品」し、値ザヤを稼ぐ。パソコン部品なども手がけ、利益は多い時には月30万~50万円に上るという。
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特集 資産逃避
税務当局、海外資産の把握に動く
確かにプライベートバンクを活用する富裕層は増えている。日本での資産運用はガラス張りだが、例えばスイスに持っていけば情報は一切出ない。運用の成果も、期間の長い投資商品を選べば課税を繰り延べできるだろう。ただ、こうした動きはより有利な運用か、起きるかもしれない大幅な円安への備えを主な目的としている。課税から逃れるための行為は言語道断だ。
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特集 資産逃避
世界投資マップ
日本人の資産逃避先は、中国や東南アジア諸国にとどまらず、世界中に広がりつつある。
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特集 資産逃避
その1 外貨を操る
「2011年は口座数が前の年の2.7倍に増えました。増加分の約半分は、日本人の個人顧客が開設した中国人民元預金口座です」。そう語るのは、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)東京支店・個人金融部の楊紅部長。同行は日本国内に置く支店で、個人向けの人民元預金サービスを提供している。
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特集 資産逃避
個人の海外投資
「ジャパンリスク」「円リスク」を回避し、海外へと資産を振り向ける個人投資家の動きが目立っている。その方法は幅広い。たとえ豊富な運用資金がなくても、銀行や証券会社の投資商品・サービスを上手に使えば、海外投資は難しくない。個人の「資産逃避術」を探る。
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特集 資産逃避
その2 海外に投資する
海外の株式に手軽に投資できるとして、近年、個人投資家の注目を集めているのがETF(上場投資信託)だ。ダウ工業株30種平均などの代表的な指数に価格が連動するように設計された投信の一種で、証券取引所に上場しているため、株式のように取引時間中ならいつでも売買できるのが利点だ。
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特集 資産逃避
その3 外銀を使う
外資系銀行のネットワークを利用して、日本にいながら海外口座開設の手続きができる銀行がある。通常、海外口座を開設するには直接現地に行って、自分で手続きせねばならない。英語ができない人は口座開設を断られることもあり、若干ハードルが高い。しかし、海外口座開設サービスを利用すれば、手続きはすべて日本の支店で可能だ。海外生活をする場合も、渡航に備え事前に日本で手続きをしておけば、現地での新生活を円滑にスタートできる。
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特集 資産逃避
「日本離れ」の今後
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特集 ブランド・チャイナ2012
「日本ブランド」に陰り、米中がトップ3に
発売日に即、販売中止に――。米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone」は中国でも絶大な人気を誇る。日本などに遅れること約3カ月、2012年1月13日に中国でも最新版の「iPhone4S」が正式に発売された。
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特集 ブランド・チャイナ2012
強さの源をひもとく
中国自動車市場が急ブレーキ――。中国汽車工業協会が2011年の新車販売台数(商用車を含む工場出荷ベース)を発表すると、国内外のメディアは一斉に中国市場の失速を報じた。
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特集 ブランド・チャイナ2012
強さの源をひもとく
自動車業界とは異なり、中国ブランドと外国ブランドの評価が拮抗しているのが電機業界だ。「ブランド・チャイナ2012」の北京エリアの結果では、ハイアール(海爾集団)が総合ランキング10位に入った。パソコンを含む「電気機械」では1位がハイアールで2位がパソコン大手のレノボ・グループとなった。外国ブランドの人気が高い上海エリアではソニーとオランダのフィリップスが1位と2位を占めたが、レノボとハイアールもそれぞれ4位と9位にランクインした。
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特集 ブランド・チャイナ2012
強さの源をひもとく
「ブランド・チャイナ2012」において食品業界で上位に入ったのは、「親しみ」と「便利さ」で高い評価を得たブランドだった。
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特集 ブランド・チャイナ2012
ステーキだって食べられる「上島珈琲」
ブランドと知的財産権は切っても切れない関係にある。皮肉なことだが、ブランド力が高まったかどうかは模造品がどれだけ出回るかで判別できる。本家の威光にあやかろうと、躊躇することなくパクる企業が後を絶たない。それが中国市場の実態だ。今回の「ブランド・チャイナ2012」で興味深いデータがあるので紹介しよう。
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特集 ブランド・チャイナ2012
迫る韓中に備えよ
かつて高品質・高機能は「日本」ブランドの代名詞だった。韓国だけでなく、中国や台湾企業も実力を伸ばしてきた中、日本企業のブランド戦略は見直しの時期に来ている。
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特集 ブランド・チャイナ2012
中国でもCSRがブランド力に影響
企業が中国でブランド力を高めるためには何をすべきか。米マサチューセッツ工科大学教授で、『BrandNewChina』(邦題『現代中国の消費文化』、岩波書店)を書いたワン・ジン氏に聞いた。