東日本大震災の直後に実施した「働きがいのある会社」調査。従業員目線で改善を続ける企業が伸張する一方、極限における経営者と従業員の絆の「強度」が明暗を分けた。働きがいを高めた企業は何を意識しているのか。

(イラスト:若泉 さな絵)

 日本列島を襲った東日本大震災という歴史的なクライシスは従業員に対する会社の姿勢を鮮明に映し出した。

 危機管理の名の下にトップが海外に避難した企業がある一方、被災地にとどまり、部下を鼓舞し続けたリーダーがいた。不安におびえる従業員に対して積極的な対話を心がけたり、従業員の家族のために様々な支援を提供したりした経営者も少なくない。

 何が「正解」なのかは誰にも分からない。ただ、危機下において、経営者やリーダーがどのような対応をしたのかを、現場で働く従業員がつぶさに見ていたことは確かだ。

 日経ビジネスが「Great Place to Work(R) Institute Japan(GPTWジャパン)」の協力を得て実施した「働きがいのある会社」調査。2011年に実施した今回の調査には123社が参加、従業員250人未満の企業を含めて40社が「働きがいのある会社」という評価を受けた(250人以上の企業は83社が参加、30社が選ばれた)。

 2012年版の今回、1位に選ばれたのは前回に引き続いてグーグルである。GPTWジャパンは働きがいを構成する要素として、「信用」「尊敬」「公正」「誇り」「連帯感」の5つの要素を挙げている。グーグルは、このすべての要素で1位を獲得した。

 調査は経営陣による自己評価ではなく、従業員アンケートを通じて現場の声を反映しているのが特徴。ランキングに入った企業では少なからぬ従業員が経営陣を信頼し、自社に誇りを持っている。グーグルに限らず、すべての企業が「働きがい」という面で優れた実績を残していると言えるだろう。

 それでは2012年版調査の中身を見ていこう。組織を預かっている者であれば、何らかの刺激を受けるはずだ。

CONTENTS

働きがいは進化する
“参画感”で社員が覚醒

「誰でも在宅勤務」、働き方の自由化が競争力に

経営トップが家庭訪問のなぜ

2012年版「働きがいのある会社」ベスト30

働きがいを支える仕組み
こんな会社で働きたい

年齢構成が将来の働きがいに影響

日経ビジネス2012年1月23日号 48~49ページより目次