広大な工場に捨て去られた運動靴と作業服。廃墟と化した東莞市(広東省)の工場は、つい最近までウォルマートなど世界的な格安店に向けて、運動靴を大量生産していた。出稼ぎ労働者を使って、安価な製品を作る…。そんな中国の「世界の工場」が終焉を迎える。 「一人っ子政策」の導入から30年余り、労働力不足が深刻化し、世界に中国製品をばらまく成長モデルが崩れる。だが、それは「中国経済の終焉」ではない。むしろ、より強力な生産大国が姿を現す。出稼ぎ労働者に頼った人海戦術は、精密なロボットが並ぶ最新鋭工場に変貌する。その時、日本企業は撤退するしかないのか──。未来を決める分岐点が近づいている。立ち止まって考えている時間はない。中国政府はたどり着くべき未来を見据え、猛スピードで産業構造の転換を図ろうとしているからだ。まずは、中国の地殻変動の現場を、気鋭の経済分析家、藻谷兄弟と歩くところから始めよう。
「世界の工場」が終わる

この記事の著者
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北京支局 坂田 亮太郎(写真:坂田 亮太郎
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デザイン:藤田 鮎美)
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