福島第1原子力発電所の事故で全国にばらまかれた放射性物質。「この野菜は食べても大丈夫か」「子供を外で遊ばせてもいいか」――。目に見えない恐怖と長い間戦うことになる日本人に、心強い技術が登場している。

 帝人は先頃、京都大学、放射線医学総合研究所と共同で、通常は無色透明だが放射線が当たると青く発光する新型プラスチック「シンチレックス」を開発。9月に発売した。

帝人が京都大学などと開発した新型プラスチックは放射線が当たると青く光る
地震のエネルギーを吸収するダンパー部分に、吸収性が高い特殊なゴムを採用。通常の住宅であれば、1階部分の壁内部に4基の制震装置を組み込む。
放射性物質のセシウムに汚染された土壌を酸溶液を使って洗浄し、液中のセシウムを特殊染料の「プルシアンブルー」で除去。放射性廃棄物が150分の1に減る。
ゴキブリなどの昆虫の体液を利用して発電するバイオ燃料電池を開発した。昆虫に燃料電池とカメラ、センサーなどを搭載し、原発内部の情報収集に当たる。

 放射線に反応するプラスチックはこれまでもあったが、特殊な素材や生産方法により生産コストが高かった。帝人は、ペットボトル用樹脂というありふれた素材を基に開発したため量産も容易で、実際に発光するセンサー部分のコストは従来の10分の1になる。

 幅広い用途への応用が可能だ。放射線を測る線量計だけでなく、「人や自動車が通る放射線測定ゲート、医療機器への搭載、病院などでの安全管理といった使い方も想定する」と帝人の樹脂子会社、帝人化成の担当者は語る。

 東日本大震災は、日本人に地震の恐怖も改めて知らしめた。

 3月11日、東京の超高層ビルをゆっくりだが大きな揺れが襲った。この揺れの正体は「長周期地震動」。地上で感じる地震動とは異なり、ビルの高層階ほど大きく揺らす。しかも、震源から遠く離れた場所にもエネルギーが減衰せずに届くのだ。2000年以前に建築されたビルには、この地震動への対策が万全でないものが少なくない。

大工事なしに超高層ビルを補強

 そこで注目を集めているのが、建て替えをせずにこの長周期地震動に対応できる大成建設の「T-RESPO構法」だ。既に同社は2009年にかけて、本社がある東京・新宿の超高層ビルをこの手法で自ら補強した。大震災の時も、最上階の揺れを2割以上抑えられた。

 同ビル中層階の床に、震動を吸収するダンパーを288台設置。補強材でダンパーと天井をつなぎ、固定した。

 しかもダンパーにはある細工がしてある。一定以上に地震のエネルギーが集まってくると、ダンパーは自動的にこのエネルギーを逃がす。周囲の柱や梁にかかっていた負荷も和らぎ、地震によるビルの損傷を少なくする。これによって柱などを補強する必要がなくなり、工事期間中もビルのテナントは業務を継続できた。

 「3・11」が残した恐怖。その多くは、技術の力で鎮められる可能性がある。

日経ビジネス2011年10月10日号 34~35ページより

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