初対面の相手には一礼しつつ両手で名刺を渡すのが、日本の正しいビジネスマナーとされてきた。しかし、これからはガッチリ握手という欧米スタイルが広まるかもしれない。

 NTTやKDDI研究所が、握手しただけで名刺データを交換できる「人体通信」の実用化に取り組んでいるからだ。体の表面で電界を変化させることなどによって、身体そのものを通信回線として利用する。

 握手すると身に着けた携帯端末同士でデータをやり取りしたり、ドアノブを握るだけで鍵を自動的に開けたりすることが可能になる。

 日本が世界をリードする通信技術はほかにもある。例えば光ファイバーの大容量化だ。

 情報通信研究機構は今年3月、住友電気工業やオプトクエストと共同で光ファイバー通信の世界最高速度である毎秒109テラビット(テラは1兆)を達成したと発表した。それまでの世界記録である毎秒69.1テラビットを更新したのだ。

ハイビジョンの4倍の解像度を持つテレビ。シャープがアイキューブドと共同開発した4K2Kテレビを来年半ばに発売する予定。
カバー範囲が半径数十mと狭い携帯電話の基地局。家庭やオフィス、店舗などに設置する。電波がつながりやすくなる。電波の混雑を緩和する効果も。
NHK放送技術研究所とシャープが開発したスーパーハイビジョンテレビ。NHKは2025年の放送開始を目指す(写真:時事通信)

 テレビ放送の高画質化も日本の得意分野だ。NHKが2025年に「スーパーハイビジョン」の放送開始を目指している。現在の「ハイビジョン」より画素数が16倍、走査線は4倍になる。シャープとともにスーパーハイビジョンテレビも開発した。NHKはこのスーパーハイビジョンを応用した3D(3次元)テレビの開発にも取り組む。

 放送サービスの多様化やインターネットの大容量化が進めば、私たちの身の回りは無数の映像コンテンツで溢れ返る。そこでニーズが見込まれるのが「映像検索技術」だ。

 富士通研究所や日立製作所などが研究を進める。富士通研究所は映像に含まれる物体やテロップを自動認識し、物体や場面の名前を文字データで映像に付与するシステムを開発中である。開発者の増本大器・主席研究員は「映像内の個々のシーンまで細かく検索することが可能になる」と言う。

 同社はダイジェスト映像の自動生成技術も開発する。サッカーのゴールシーンだけを抽出したり、水戸黄門の印籠を取り出すシーンだけを抽出してつなげたりできる。ホームビデオの映像を自動で編集することや、監視カメラの映像から犯罪に関係ありそうな場面だけを取り出すような用途も想定している。

 より快適なIT(情報技術)生活は、日本の技術なしには実現しない。

日経ビジネス2011年10月10日号 30ページより

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