異端のサービスで 大手に挑む

 「世界」市場を、「アジア・オセアニア」「南米」など地理的にセグメント化し、個々のエリアをまず制圧することでグローバル競争の足がかりにする「地域制圧型」(28ページ)を前段で見た。同じく内需企業にも、全国の「地方」を抑えるドミナント型で強さを維持する企業は多い。

 九州地方を地盤とするドラッグストア、コスモス薬品は典型的な地方ドミナント企業。本州の一部地域に出店はするが、圧倒的に強いのは九州地方だ。

 ポイントや特売をやめ、目指すのは米ウォルマート・ストアーズのような「エブリデーロープライス(毎日、低価格)」。その特徴は、売上高に占める食品構成比の高さだ。50%を超えている。医薬品だけでなく、食品、日用品など幅広く低価格で揃えることで、「コスモスに行けば安く揃う」と消費者に印象づける。人材教育にも力を入れ、顧客満足度を高めてリピーターを増やす。結果として「地元の何でも揃う店」となり、その地域の競合スーパーマーケットやドラッグストアを駆逐してきた。

ハンズマンでは巨大な店舗の中に多数の商品アイテムが整然と並ぶ

 ホームセンターを運営するハンズマンの売上高は243億円(2011年6月期)。売り上げ規模で言えばホームセンター業界首位のDCMホールディングス(4224億円、2011年2月期)の6%にも満たないが、南九州で圧倒的な存在感を示す。

ロングテールで需要総取り

 売り場を見れば瞭然としている。店内に並ぶのは、一般的なホームセンターの6倍に当たる約18万点もの商品。どこに何があるか客は分からなくなるほどだが、棚のディスプレーを工夫することで、顧客を誘導。7200m2ほどの売り場面積の場合、常時100人ほどの店員を配置する。

 言わば、徹底した「ロングテール(ほとんどニーズがないようなニッチ商品に対する需要)」対応。コスモス薬品と同じく「ハンズマンに行けば揃わないものはない」と思わせる品揃えによって、地域の需要を総取りしている。

 スーパーマーケットのハローズが展開するのは、香川、岡山、広島、愛媛の、いわゆる「瀬戸内」エリアのみ。広島東部から岡山にかけては国道2号線沿いの主要都市に出店して、エリアを「面」で押さえる。近年は、都市部に小商圏の食品スーパーと広域商圏のNSC(中規模ショッピングセンター)を組み合わせて、食品から衣料、雑貨まで商圏の需要を根こそぎ集めるドミナント(集中出店)戦略を進めている。

 食品スーパー、丸久は山口県内に圧倒的な地盤を築く。これまでは小型の食品スーパーのみに特化していたが、地域に根ざしたブランドを生かして大型店の出店に舵を切った。

価格の透明化で支持集める

 小売りだけではない。葬儀会館運営を手がけるティアの地盤は名古屋。旧態依然とした慣習に支配され、価格が不透明な葬儀業界の中で、価格の「透明化」に挑戦することで大手に挑んできた。創業以来、付帯費用を含めて折り込み広告やウェブサイトではっきりと公開。この姿勢が消費者に受け入れられ急成長を遂げた。制圧した名古屋地区を足場に、愛知、岐阜、大阪、和歌山の各府県に勢力を広げている。

 JBイレブンは中部地方を中心に展開する中華料理チェーン店。他チェーンの提携しながら中部地方の外食市場を深掘りする。

日経ビジネス2011年10月17日号 43~44ページより

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