哲ちゃんとの出会いは16年前になる。私が中心になって運営していた旧気仙町の「気仙町けんか七夕祭り」が日本ふるさとづくり大賞をもらって、その賞状とトロフィーを取りに熊本県水俣市に行った時に出会った。すぐに意気投合して、岩手県陸前高田市横田地区に哲ちゃんを呼んで「高田地元学」を始めた。

 地元学とは、「あるものを探し、組み合わせて、新しい価値を作ること」。哲ちゃんは水俣市職員として、水俣病でズタズタに分断されたコミュニティーと向き合ってきた。一時は水俣から出たくてしょうがなかったみたいだが、自分が生まれ育った地域だもんな。水俣をより深く知るために、山に分け入り、川をたどり、人々の生活を直接聞き取っていった。それが、今の地元学につながった。

 地元学は今、ベトナムなど海外に広がり始めた。水俣病の苦しみから生まれたことが、実は普遍的な手法だった。陸前高田が再生したら、また哲ちゃんとあるもの探しをしたい。

Text by 河野和義:八木澤商店会長
日経ビジネス2011年10月31日号 33ページより

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