世界の防壁が崩落し、その黒々とした亀裂から「外部」が滲出してくる時、それに気づいて壁を補修し、「外部」を押し戻し、世界の秩序を回復することを主務としている人たちがいる。「歩哨」とも「キャッチャー」とも呼ばれる。村上春樹は一貫して、この「歩哨」たちの報われることの少ない仕事を描いてきた。その仕事が果たされたせいで何も起こらなかった仕事。