(写真:Getty Images)

 ワールドカップ優勝がスポーツビジネス界にもたらした影響は計り知れない。佐々木率いるチームが奏でた「ストーリー」の成果である。澤穂希を中心にした選手と「なでしこ伝説」を国民が咀嚼している。物語を演出した佐々木の手腕を認めざるを得ない。ストーリーがチームとファンの間を絆で結び、勝利に導いた。

 これは日本のスポーツビジネス界に示唆を与えている。「高い競技レベル=ファン増大」とはならないのだ。高いレベルのサッカーを見たければ、Jリーグの試合を見ればいい。だが現実には、女子サッカーに足を向ける人の数がケタ違いに上昇した。多くのファンは、ちょっと頼りなげで父親のような監督と、小さな娘たち、そこに「他人事と思えない何か」を見いだしている。見る人とつながる何か。佐々木は「なでしこ」を通して、プロスポーツ界が直面する難問に1つの解を出してみせた。

(Text by 鈴木友也:米スポーツビジネスコンサルタント、
トランスインサイト代表)
日経ビジネス2011年10月31日号 62ページより

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