繁盛店のノウハウとは

『ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら』
木村康宏著
幻冬舎
1365円
ISBN978-4-344-02041-2


 以前は盛況だったが今は不振のラーメン店を舞台とするビジネス小説。店主・大二郎は自らの流儀に頑なだが一人娘・春香が経営コンサルタントとともに改革に乗り出す。地域一番の商品を作るため塩、みそ、豚骨と広げたメニューをしょうゆに絞り質を高める。顧客の視覚や聴覚に訴える“劇場型”店舗を演出する。復活を目指す奮闘劇を描きつつ繁盛店のノウハウを示す。

欧米人上司への対応方法

『もし「ガイジン」が上司になったら』
マイク・コリー著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1575円
ISBN978-4-7993-1038-0


 ビジネスのグローバル化が進み、誰にも、上司が外国人となる可能性がある。本書は日本で外資系企業のマネジャーを務める著者が、欧米人上司とうまくつき合うコツ、文化の異なる職場の中で能力を発揮する仕事術などを分かりやすく解説する。

 外資系企業の上司に多いのは3タイプ。競争心が旺盛で、目標を達成することに重きを置く「即行動」タイプには、スピード重視で率先して上司のプランを実行することが必要である。高度な専門性が要求される分野の管理職に多い「専門家」タイプの上司には、論理的な流れを整えたうえで計画立てて仕事を進めることが重要だ。過去にもいろいろな国での勤務経験がある「海外駐在員」タイプは優れた組織の構築を重んじるため、定期的にコミュニケーションを取り、常に情報を提供して信頼を得ることに留意すべきだとする。

 欧米型の人事管理では、定期的に仕事の実績を評価し、部下にフィードバックする。本書は面談の場で実績をアピールする方法や昇給の要求の仕方などについて、英文例を交えてアドバイスする。そのほか、社内会議、メールなどで注意すべきポイントや主張すべき内容、上司がよく使う英語フレーズなども豊富に掲載。欧米人上司のいる職場で日々活用できる内容だ。

原発事故後を描く小説

『ディアスポラ』
勝谷誠彦著
文芸春秋
1400円
ISBN978-4-16-380750-8


 10年前に執筆された、原子力発電所事故を題材とする小説2作を収める。

 表題作の「ディアスポラ」は民族離散(ディアスポラ)の凄惨さを描く。事故によって日本列島は居住不能となり、日本人は世界中に散らばって各国に設けられた難民キャンプで暮らす。チベットの奥地メンシイのキャンプ地では、十数世帯、50人ほどの日本人難民が1日3ドルの食費で命をつないでいた。情報から隔絶される中、盆には法事や盆踊りを企画するなど日本人として生きようと懸命な難民たち。帰国できるという根拠のない噂に希望を見いだしながらも亡くなった女性は、チベットの風習に倣い、遺体を鳥に食べてもらう「鳥葬」に付される。

 「水のゆくえ」は事故後も国内にとどまる選択をした人々の日々を綴る。160年の歴史を持つ酒蔵では、蔵元の跡取りと年老いた杜氏が、誰が飲むとも分からない酒の仕込みを続けていた。水、木、土、米、人と村の“宝”を束ねる存在である蔵は、かつては村に持ち上がったダム建設計画で、今度は原発事故で揺れている。老母は放射線による急性症状を示し死に至る。家族で村に残っていた幼なじみも、ダム反対闘争の英雄と言われた老人も放射線障害で死んでいく。祖国、郷土を失うことの切なさを淡々と描き心に残る。

日経ビジネス2011年10月10日号 60ページより目次