ソフトバンクグループの出資先は900社以上。ヤフーやアリババといった大手から、社員数人のベンチャー企業まで、インターネットを主戦場とする多様な企業グループを形成する。いずれの社長も、孫社長と理念を共有する。ソフトバンクは子会社として完全に支配せず、出資比率30%程度の緩やかな関係を維持する。各社に自律を促し、目的に応じて協調あるいは分散するネットワーク組織を目指している。最近では、中国やインドでの投資案件が増えつつある。

アジアでの主な出資先企業

2011年3月期の売上高は前年同期比8.7%増の3兆46億円、営業利益は同35.1%増の6291億円。売上高営業利益率は、20.9%と、2007年3月期から4年間で10ポイント以上、上昇。初めてNTTドコモ(20.0%)を上回った。ただし、今期は携帯電話の基地局設備への投資を増やすことを宣言しており、利益率は低下することが予想されている。

携帯3社の売上高営業利益率推移

ボーダフォン日本法人買収時に借り入れた1兆円超の借金。多額の負債によって、世界金融危機が勃発した2008年には経営不安説が流れた。事態を重く見た孫社長は、純有利子負債を2015年3月期末までにゼロにすると公言。2011年3月期末時点で、約1.2兆円にまで減らしている。

純有利子負債の推移

携帯純増数トップは19ヵ月連続

孫社長の戦術の1つが、「ナンバーワン」にこだわること。1番になる成功体験を社員に植えつけることで、社内の士気が飛躍的に高まることを熟知しているからだ。勝負時には「1番乗り」にもこだわる。iPhoneの販売が物語る通り、先行メリットは計り知れないからだ。

携帯電話契約者数のシェア推移

携帯電話の割賦販売方式、契約者同士の通話(一部時間帯除く)やメールが無料になるホワイトプラン、iPhoneなどを次々に投入。2007年から4年連続で新規契約から解約を差し引いた年間純増契約数で首位に。2006年3月期に16.6%だった携帯電話シェアは2011年3月期に21.3%まで上昇した。

iPhoneによって切り開いたスマートフォン市場。2011年冬・2012年春向けの新商品は、発表した新規機種のうち、9割以上がスマートフォンとなった。スマートフォン契約の増加により、契約者当たりの平均収入でもデータ通信収益が音声収入を逆転。収益の柱は音声からデータへと完全に変わっている。

ソフトバンクの携帯電話最大の弱点と言われているのが、「つながらない」と言われるネットワーク。iPhoneをはじめとしたスマートフォンの普及によって、通信量が急増。設備容量が逼迫しつつある。このため、2011~12年度の2年間で1兆円の設備投資を計画。その8割を携帯電話の基地局設備などに充てることで、対応しようとしている。ただ、設備増強以上のペースで通信量は増大しており、現場は綱渡りの状況が続いている。

設備投資額の推移

日経ビジネス2011年11月21日号 34~35ページより

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