米大学の講座に沿い解説

『「権力」を握る人の法則』
ジェフリー・フェファー著
日本経済新聞出版社
1890円
ISBN978-4-532-31715-7


 権力を手にするための法則を米スタンフォード大学ビジネススクールの「権力への道」と題した講座に沿って解説する。成果を上げれば組織の上に行けると思うのは間違い。社会学的調査や研究の結果から、必要な資質を身につけ、政治的スキルを習得することが必要だと説く。強力な人脈の作り方、権力を印象づける言動、評判を高める方法など具体的なポイントを示す。

山一・長銀破綻劇の内幕

『修羅場の経営責任』
国広 正著
文春新書
819円
ISBN978-4-16-660825-6


 1997年、98年に起きた山一証券、日本長期信用銀行の破綻劇。弁護士として、どちらの事件にも深くかかわった著者がその内幕を綴る。

 山一証券では「社内調査委員会」の外部委員として破綻の原因を調査した。関係者へのヒアリングから、簿外債務のもとになった「飛ばし」の実態、飛ばしを示唆し黙認した大蔵省(当時)の言動、問題を処理することなく先送りした経営陣の存在などを明らかにする。報告書公表を阻止しようとする勢力との間で激しい闘争を繰り広げたが、「真相を究明し、最後のけじめをつける」との信念で98年4月に公表。「企業史に残る歴史的な資料」との評価を受けた。

 長銀事件では粉飾決算容疑で逮捕・起訴された副頭取の刑事弁護人を務めた。東京地検特捜部は不良債権発生に関与せず、処理のバトンを渡された「最終ランナー」の経営陣に責任を押しつけようとする「国策捜査」を展開した。10年に及ぶ法廷闘争の結果、最高裁で逆転無罪判決を得る。しかし、なぜリスク管理が機能しなかったのか、なぜ不良債権処理が遅れたのかといった「失敗の検証」を行う機会は失われた。

 破綻という重い結果に対し、それぞれの形で責任を負おうとする経営者の姿を通して、「経営責任」を考察する。

明るい職場づくりの方法

『ご機嫌な職場』
酒井 穣著
東洋経済新報社
1575円
ISBN978-4-492-53292-8


 インターネット事業支援などを手がけるフリービット取締役の著者が、明るい職場をつくる方法を考察する。

 職場は目的を持った組織であると同時に、人間にとって重要なコミュニティーでもあるという二面性を持つ。だが、今は集団に帰属する欲求(親和の欲求)が薄れ、職場でも「他人を気にしていられない」という意識が蔓延している。インターネットを通じて職場外に無数のコミュニティーが形成され始めたこと、企業の業績に注目が集中し、非公式なコミュニケーションが悪者にされがちなことなども影響し、職場コミュニティーは弱体化している。

 本書は「ご機嫌な職場」の実現を目指し、フリービットがコミュニティー科学や心理学の理論を踏まえて設計し、実践する9つの対策を紹介する。マネジメント層の意識改革を目的とする「職場コミュニケーション研修」、コミュニケーション活性化を意図したオフィスレイアウト、肩書を取り払って本音で話し合い、チームの結束を堅固なものとする「オフサイト・ミーティング」などの施策について、詳細を解説する。明るい職場は「なんとなく生まれる」のではなく、一人ひとりが「意識してつくりあげる」もの。従業員間で意義を浸透させ、協力を得ることが重要だと説く。

日経ビジネス2011年10月24日号 60ページより目次