シリーズ
編集長の視点/取材の現場から

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ジェンダー意識 予選落ちの日本
8月8日に閉会した東京五輪。いまだに「五輪ロス」が抜けない私ですが、今大会を振り返ると「性」についてこれほど注目された五輪は過去になかったように思います。
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社風と創業精神 不祥事生む断絶
今号の特集は「良い社風、悪い社風」。企業不祥事が起きるたびに「内向きの企業風土を変える」、「上にものが言えない社風を改める」など反省の弁が繰り返されます。しかし、それが徹底されているのかは疑問です。
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変わる新卒採用 学歴が溶けていく
「優秀な学生は起業するか、スタートアップにためらいなく就職する」。東京大学工学部長の染谷隆夫教授からこんな話を聞きました。実際、最近取材した自動運転技術のスタートアップは、新卒社員の大半が東大卒だそうです。
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次代に残すルール EUの深謀遠慮
「我々の時代に起きた悲劇の結果、我々は前より賢明になった。しかし人は去り、別の世代と交代していく。新しい世代に残せるのは、我々と消滅する我々の経験ではなく、制度である」
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消えた「復興五輪」 それでも声援を
5大陸を表す5色の輪。近代オリンピックの代名詞である五輪旗が初めて使われたのは、1920年のアントワープ大会(ベルギー)でした。第1次世界大戦の戦禍からの復興を願い、五輪は「平和の祭典」に変わりました。
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コロナ禍の五輪 医療は大丈夫か
「日本だけでなく、多くの国々が五輪開催を非常に恐れている」(ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長)。「自殺行為のようだ」(楽天グループの三木谷浩史会長兼社長)今春、IT企業のトップ2人が東京五輪開催に否定的な見解を海外…
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中小になる大企業 中小のままの中小
問題:JTB、スカイマーク、毎日新聞社、回転ずしチェーンのカッパ・クリエイト。それぞれ業種の違う4社に共通する企業分類は何でしょう?答え:「中小企業」
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20年後に笑うスマイルカーブ
スマイルカーブ理論。2000年代前半に電機産業で流行した付加価値分析です。製品の製造工程は利益率が低く、上流の部品と下流のサービスの付加価値が高いというもの。横軸に製品の一生、縦軸に付加価値をとると人が笑った時の口のよう…
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信長の貨幣経済と仮想通貨の危うさ
天下統一を目前に非業の死を遂げた戦国武将・織田信長。卓抜した戦力の源泉になったのは貨幣経済の構築だったといわれます。信長は戦国時代に品質と価値がばらばらだった銅銭の交換レートを決め、金・銀との交換価値も一定にしました。
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宮沢賢治に学ぶ 脱炭素の想像力
化石燃料から脱却できない企業は投資マネーから選別され、サプライチェーンから排除され、消費者からも敬遠される時代が到来しました。企業はすでにエネルギー転換に走り出しています。国の議論を待つ余裕はありません。我々に今求められ…
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米中新冷戦時代 のび太君の憂鬱
ドラえもんのキャラクターに例えると「米国のトランプ前大統領はジャイアン、バイデン新大統領は出木杉君」(秋田浩之・日本経済新聞コメンテーター)なのだそうです。さしずめ日本はのび太君でしょうか。
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「秘伝のタレ」と日本型技術革新
「秘伝のタレ」。三菱ケミカルホールディングス(HD)会長の小林喜光さんは、日本の製造業の技術力をよくこう表現します。老舗のうなぎ店が創業から何十年も継ぎ足し、継ぎ足して作るタレは、他の店がまねできない深い味わいを醸し出し…
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笛吹き男の伝説と八百屋お七の迷信
グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」は実話が起源といわれます。中世ドイツのハーメルンの町で大量発生したネズミを旅人が笛一本で駆除。しかし報酬をもらえなかった旅人は笛の音で子供を連れ去り、町から子供が消えてしまう──。
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依存から自立へ 新常態の働き方
「『御社で生涯働きます』なんていう学生は全員落としましたね」。かつてリクルート(現リクルートホールディングス)で採用を担当していた企業経営者の言葉です。定年まで働く社員が一握りしかいないリクルートでは、退職を「卒業」と呼…
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コロナ禍の氷河期 生き残れ外食産業
「今度は“禁酒法”ですよ……」。東京都に緊急事態宣言が適用された4月25日、数日後に予約していた居酒屋にキャンセルの連絡を入れると、店員のあきらめともつかない一言が返ってきました。政府は宣言を発令した地域で酒類を提供する…
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苦手なテレワーク 取り残される世代
正直にいうと、テレワークが苦手です。通勤電車で新聞を読んで頭を仕事モードに切り替えていた時間がなくなります。パソコンのちょっとしたトラブルを相談する後輩が隣にいません。たばこ部屋での他の部署の人との何気ない雑談が仕事に役…
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日本のコロナ対策 あふれる「なぜ」
なぜ日本は多くの途上国よりもワクチン接種が遅れているのでしょう。日本は先進国で最も人口当たり病床数が多いはずなのに、なぜ医療が逼迫するのでしょう。なぜ経済に痛みを伴う緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を繰り返すのでしょう…
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「ハネムーン」なきバイデン氏の船出
日本で初めて新婚旅行(ハネムーン)に行ったのは幕末の志士、坂本龍馬だといわれます。寺田屋事件で九死に一生を得た龍馬は、西郷隆盛らの勧めもあって妻のお龍と一緒に春の薩摩を旅します。
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『ちびくろサンボ』と多様性社会のリスク
幼いころ、寝る前に母親にせがんで何度も読んでもらった絵本があります。『ちびくろサンボ』。黒人少年のサンボが4匹の虎に襲われますが、その後、虎たちがけんかを始め、ヤシの木の周りを輪になってぐるぐる回っているうちに溶けてバタ…
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イノベーションつなぐ 直感とビッグデータ
「5分話せば人は分かる」──。10年ほど前に取材した孫正義氏の言葉を思い出します。2000年、孫氏が中国のIT企業20社に面会した際、ひときわ強烈なカリスマ性を感じたのが、1年前にアリババ集団を設立したばかりの馬雲(ジャ…